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2004年6月4日更新

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やさしい天文学
『星と宇宙の謎』(2)


著者・前川光
発行所・株式会社恒星社厚生閣
初版・1997年12月5日
(C)1997
ISBN 4-7699-0860-1
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【本文より引用】
「太陽の表面を光球とよび,この層の厚さは400kmほどである. この光球は地球大気の10万分の1という希薄な高温ガスであるのに宇宙空間に放出してしまわないのは, 質量の大きい太陽の引力に引きとめられているからである. 光球表面からガス粒子が逃げ出すのに必要な速度は秒速650kmであるが, 光球のガス粒子は平均秒速10kmで飛び回っているにすぎない. 」 (P11〜「2.太陽の外層」より)

「常識外れのエネルギー」太陽は, 毎秒3.8x1033エルグ(9000億キロカロリーの1000億倍)ものエネルギーを宇宙空間に放出している. これは電力に換算すれば3860億kwの1兆倍で, 地球上に人類が出現してから今日までに消費した全エネルギーよりも多い. しかもそれが, たった1秒間の消費量なのであるから想像を絶する. (中略)
長年研究を続けているスミソニアン協会の発表では, 太陽定数は1平方cmあたり毎分1.95カロリーとなっている. これをわかりやすくいえば地球は太陽から毎秒, 石炭200万トンを燃やすのと同じ熱量をうけていることになる. これは琵琶湖の水を1分間で沸騰させる熱量である. 」 (P14〜「3.太陽はなぜ輝く」より)

「星は集団で生まれる」 オリオン座付近の星を調べると, あるきまりをもった運動を見付けることができる. それらの星の動く方向を逆にたどると800万年くらいでオリオン星雲に集まってくる. もともとオリオン星雲は10°k(−263℃)のガスであったのが熱せられて急激に膨張したものである. その速度は秒速数十kmなので現在の直径3光年になるまでには10万年ほどしかたっていない. つまりオリオン星雲はたった10万年前に生まれた極めて若い星雲で, 現在も星が生まれつつあるのである.
すばる(プレアデス星団)は条件のよい夜なら肉眼でも潤んでいるように見える. これは, すばるの青白い星たちがガス星雲に包まれているからである. (野尻抱影は, 湯殿の硝子戸越しに見た蛍の光のようだと表現した). このような散開星団は数多くあるが, いずれも数千年から長くて数億年の若い星たちである. 散開星団は古くなるとバラバラになってしまう. これに反して球状星団は結びつきが強いので数十億年と古い.
(中略)太陽もその昔, 多くの仲間たちと一緒に生まれたに違いない. そのときの兄弟たちは, 今どのあたりを旅しているのであろうか. 」(P22〜「1.星の誕生」より)


ちょうど絶妙のタイミングを迎えて、前回と同じ本を紹介している。
来る6月8日に金星が日面(太陽面)を経過するからである。 前回に起こった金星の日面通過は明治7年12月9日(1874年)、それから数えて今年は130年目にあたる。 前回このコーナーで書いたように、その時は日本が金星を観測する条件として最適であったため、 アメリカ、フランス、メキシコが日本で観測を行った。 地球と太陽間の距離を測定するためであり、 約1億5000万キロという距離の確認に成功した。
今回は、 6月8日14時過ぎから金星が太陽面に入り、約6時間掛けて太陽面を経過する。夕方の17時過ぎには太陽の明るさも弱まり、しかも金星の「食」が最大になるので、 西空に黒いスポットとして肉眼でも見ることが出来るということである。 そして、この日を境に、 金星は「宵の明星」から「明けの明星」へと変わる。 そのあとの日面経過は8年後の2012年だが、さらにその先は105年後の遠い未来になってしまう。 今回の日面経過は見逃したくない。
※太陽を観察するときは目を痛めないよう十分に注意してください

さて、 この本のテーマはこのあとさらに広がって、 ブラックホール、膨張する銀河、 宇宙の相対性理論、 太陽系の秘密と展開していく。気楽に読み流すだけで天空の世界に誘い込まれる思いがする。今年の夏は、 果てしない夜空を仰ぎ見て、しばし夢とロマンにふけってみたいものである。

森川 達夫(もりかわ・たつお)
1923年 三重県に生まれる。
1945年 中央気象台付属気象技術官養成所(現気象大学校)卒業、
津地方気象台勤務。
1957年 航空自衛隊気象幹部。
1968-1998年 財団法人日本気象協会。
2002-2003年 株式会社ウェザーマップ技術顧問。
気象予報士、技術士(応用理学)。


   だれも光を追い越せない やさしい天文学『星と宇宙の謎』前川光・著 ( 2004年4月12日更新 )
   寒に雨なければ夏日照り 『天気予知ことわざ辞典』大後美保・編 ( 2004年2月3日更新 )
   冬の日本上空は、このため地球上で最も風の強い地域となっています 『極地気象のはなし』井上治郎・編著 ( 2003年12月2日更新 )
   地図をハサミで切って合わせてみるとほとんどぴったりと重なり合う  『深海底の科学』藤岡換太郎・著 ( 2003年9月30日更新 )
   そのまたとない理想的な大接近が2003年8月27日におこる。  『火星の驚異』小森長生・著 ( 2003年8月4日更新 )
   だから御飯をたくこともできず、パンをたくさん買い込む。  『風の世界』吉野正敏・著 ( 2003年6月19日更新 )
   火星の表面は約マイナス九〇℃と厳寒の世界です  『地球温暖化とその影響 ー生態系・農業・人間社会ー』内嶋善兵衛・著 ( 2003年5月9日更新 )
   富士山頂で最初に観測を行ったのは、一八八〇(明治一三)年である 『富士山測候所物語』志崎大策・著 ( 2003年3月5日更新 )
   ロシア語でいう「光の春」である 『お天気歳時記〜空の見方と面白さ〜』倉島厚・著 ( 2003年1月15日更新 )
   氷点下70度の世界 『雨風博士の遠めがね』森田正光・著 ( 2002年11月28日更新 )
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   地球は現在よりも平均してセ氏一度以上も暖かかったのである 中公新書845『太陽黒点が語る文明史』桜井邦朋・著 ( 2002年10月8日更新 )
   大きい光の球が雷雲から出て来て、空を舞ひ歩いた 岩波新書46『雷』中谷宇吉郎・著  ( 2002年8月29日更新 )
   鳶と油揚げ ランティエ叢書6『寺田寅彦 俳句と地球物理』角川春樹事務所・編  ( 2002年7月1日更新 )
   日本の大事な雨期は梅雨である 『気候変動と人間社会』 朝倉正・著  ( 2002年5月30日更新 )
   3月の風と4月の雨が、5月の花をつれてくる 『暮らしの気象学』 倉嶋 厚・著  ( 2002年4月30日更新 )
   春の4K 『お茶の間保存版 お天気生活事典』 平沼洋司・著  ( 2002年4月4日更新 )

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