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2004年11月15日更新





『山の自然学入門』

編者・小泉武栄、清水長正
発行所・株式会社古今書院
初版・1992年9月28日
(C)1992 Takeei Koizumi and Cho-sei Shimizu
ISBN 4-7722-1487-9
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【本文より引用】
「日本は、(中略)山名の表示されている山が一万六〇〇〇もあるということである。」「…今見るような山容が出現するまでには、何十万年といった長い歴史が秘められている。その間に地球は何回もの気候変化を経験し(中略)さまざまな作用による浸食を受けて姿を変えてきた。日本アルプスや日高山脈に残る氷河地形は、かつて日本の山にも氷河があったことを物語っている。」 (「まえがき」より)

「やせていく火山 利尻岳」P30〜
「…この山は、北海道北部の最高峰で火山が浸食されてできたものだ。」「豊仙沢の底部には、厚さ四五メートルに及ぶ大雪渓がある(中略)雪の量が大変多く、越年雪渓となっている。」「利尻火山は、もしかすると氷河による浸食があったかもしれない。」

「海の底から現れた火山 知床岳」P34〜
「…知床岬寄りには北海道最東端の火山である知床岳(一二五四メートル)がそびえている。」「一万数千年前から気候が温暖になりはじめ、数千年前には現在のように多雪な環境となった。」

「神秘の湖と永久凍土 大雪山」P36〜
「…白雲岳の火口底は(中略)乾いた広場だ。しかし、融雪期の五月中旬から六月上旬のわずかな期間だけ、ここに湖が出現する。火口底の約三分の二をおおいつくす神秘的な湖は、6月上旬になると忽然と姿を消し(年によって多少のずれがある)、その後しばらくして夏山シーズンを迎える。」「湖の出現と消滅には、凍土が重要な役割を果たしている。冬の寒気のもとで火口内に凍土ができ、(中略)融雪水が火口に貯えられる。初夏を迎えるころ火口内の凍土は融解が進み、やがて水漏れが始まる。そうなると火口からの排水は一気にすすみ、水は地下にすいこまれて湖はあっという間に姿を消す。」「永久凍土は富士山と大雪山でのみ、見つかっている。(中略)夏場の融解は地表面下一メートル程度までで、それより下が夏を越える凍土層だ。」

「カール氷河の予備軍 鳥海山」P48〜
「鳥海山(二二三六メートル)は(中略)夏は熱帯なみの雨が降り、冬は北西季節風が大量の雪をもたらすため、標高一〇〇〇メートル以高の年降水量は一万二〇〇〇ミリを超え、世界でも最大級の多降水地帯となっている。」「第二の特色は、稜線の風陰となる山腹斜面上の凹地における積雪が極端に多くなることである。積雪深が二〇メートル前後のものはざらで、年によっては五〇メートルを超えるところさえある。」

「雪田をとりまくお花畑 月山」P50〜
「…出羽三山の最高峰・月山(一九八四メートル)は、その名にふさわしく半月形をした大きな山だ。」「積雪期にこの山が見せる白い輝きは、いかにも月山の名にふさわしい。(中略)月山でこれほど雪が多いのは、日本海を渡ってくる冬の季節風の影響を顕著に受けるためである。」「…吹きだまり雪渓のある場所には、積雪期の終わり頃、三〇メートルを超える積雪深となる場所がある。」 「雪田のなかには、一年中融けきらずに、ついに越年するものもある。俗に万年雪と呼ばれるものだ。」

「果たして氷河あらざりしか 谷川岳」P82〜
「谷川岳は北緯三六.五度にある。こんなにも緯度が低いところで、わずか標高一〇〇〇メートルの場所に年を越す雪渓−越年雪渓が残るのは、地球上で谷川岳だけなのだ。谷川岳はそういう意味で、地球上の特異点といえる。」


大学教授や学校の先生を中心とした、山の研究者約50名の執筆によって集成された本である。
北は利尻山から南は屋久島まで約60の山についての、各執筆者の研究の成果であり、現地の山に入って実際に足で調査した貴重な記録がまとめられている。
まるでパノラマを見るような鮮やかさで山容や植物の眺めを楽しむことができるが、それにもまして興味深いのは、地質学的、気候学的に山のできかたや歴史に触れられていることである。
今見るような山容が出現するまでには何十万年という歴史が秘められており、その間に地球は気候変化や氷河の活動などを繰り返している。日本の山は200万年の間に隆起や浸食を受けて姿をかえてきた。日本アルプスなどに残る氷河地形はかつて日本の山にも氷河があったことを物語るものであり、山の植物分布も気候変化に伴う植物の南北、垂直移動の歴史を経て形成したものである。

訪ねようとする山がどのような特徴があるのか、どのようにして形成されたのか、そういう奥深い所にも関心をもつことで、山に登る喜びと、山を眺める楽しみも一層深まり自然の妙に心打たれることであろう。
ここでは、紙面の関係でほんの一部しか紹介できなかったことが心残りである。(気象予報士・森川 達夫)

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