2002年5月30日更新





『気候変動と人間社会』

著者・朝倉 正
発行所・株式会社岩波書店
初版・1985年6月18日
1985 (C)Tadashi Asakura
ISBN4-00-007546-2

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【本文より引用】
「日本の大事な雨期は梅雨である。おもしろいことに梅雨は、日本から遠く離れたインドのモンスーンや東部赤道太平洋のエルニーニョと関係がある。」
(P115「モンスーンと梅雨とエルニーニョ」より)

3年余りの歳月をかけて執筆されたこの著書。数多くの資料と内外の研究論文なども参考にして書かれており、気候学百科事典のミニ版ともいえる名著である。
あらましを紹介すると、気候変動と人間社会、食料、水の問題、異常気象、将来の気候などをメインテーマとして、こと細かに解説されている。とりわけ冒頭にあげた章節は、これから始まる梅雨現象のシナリオを動気候学的に浮き彫りにしており、興味深く理解することができる。
200ページ強の小冊子で読みやすいので、とくに気象を志す人は一度は目を通しておくべき文献である。

朝倉さんは、気候学のみならず、地球環境問題にも早くから深い関心を払ってきた方で、各方面にわたって多数の著書があり、日本を代表する著名な気候学者の一人です。また、心暖かく誠実な人柄は国の内外を問わず広く人望を集めており、私の尊敬してやまない方です。(森田正光)

朝倉さんと私は気象大学校の同期生であり、(財)日本気象協会でもおよそ10年間机を隣り合わせて過ごしました。穏和な表情に真剣な眼差しでペンを持つ姿は崇高で印象的でした。これからも若き気象人達の手引きとなる名文をお願いします。(森川達夫)


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