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2006年5月2日更新





雑学を超えた教養シリーズ
『天文学はこんなに楽しい』


監修・縣 秀彦
発行所・株式会社 誠文堂新光社
初版・2005年9月2日
(C)2005 HidehikoAgata
ISBN 4-416-20515-2
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【本文より引用】
「地球に一番近い天体「月」」P16
「月は地球に一番近く、人類が唯一降り立ったことのある天体である。月の直径は地球の約4分の1(中略)、黒く見えるのは玄武岩という黒っぽい岩石が多いためである。(中略)白く見えるところはたくさんのクレーターで覆われた領域である。顕微鏡を使わないと見えないほど小さなクレーターまであり、大気がほとんどない月には、いかに多くの隕石が衝突しているかを物語っている。」

[補足]離れていく月
「地球の自転速度が遅くなっていくのに伴って、月の公転周期も遅くなっていく。そのため、月は1年に約3cmずつ地球から遠ざかっている。これは、アイススケートの選手が腕を縮めると速く回転するが、腕を伸ばすと回転が遅くなるのと同じ原理だ。」


「赤く見える星「火星」」P122〜
「…火星の赤は地面の色である。火星は大気が少ないため、地表面の色がそのまま見える。地表面が赤いのは、土にたくさんの鉄が含まれているからだ。(中略)望遠鏡で火星を見てみると、ところどころに黒っぽい模様があるが、まださびていない(酸化していない)玄武岩質の地面が見えている部分ではないかと考えられている。」

「月や太陽が地平線に近いと大きく見えるのは?」P194〜
「沈んでいく夕日や、昇ってきたばかりの月をみて「ずいぶん大きいなあ」と思ったことはないだろうか。(中略)
地平線近くにある月や太陽は、なんとなく地球に近いように思える。だから大きく見えるのだろうか。それは違う。地球から月・太陽までの距離は、地平線に近いときも、空高いときもほとんど同じだ(厳密には、空高くにある時の方が、地球からの距離がほんのわずかだけ近い)。

●地平線近くにある天体はみな大きく見える
「実は、空のどこに見えているときでも大きさは変わっていないのだ。(中略)
地平線近くにある月や太陽が大きく感じる理由は、はっきりとはわかっていない。目の錯覚だともいわれている。ただ、なぜこのような錯覚が起こるのかについても、はっきりとはわかっていない。月の近くに建物や山などの景色が見えて、それと比較できるときと、そうでないときで、大きさの感じ方が違うのではないか、ともいわれている。
 さて、もっと正確に月の大きさを考えてみよう。なんと厳密には、毎日少しずつ見かけの大きさは変化している。…」


天文学ほど好奇心を満足させてくれる学問はない」という人がいる。
また、「宇宙は不思議の玉手箱」ともいわれる。

古今東西、ひとびとは遙かな空を眺めては宇宙に思いをはせ、宇宙の様々な謎の解明や学問の研究が進展してきた。

昨年の秋、日本の小惑星探査機「はやぶさ」が、地球から約3億km離れた小惑星イトカワに到着。世界で初めて小惑星への着陸と離陸を成し遂げた。表面の岩石等の試料採取も成功したとみられ、現在、地球への帰還を目指している。

ここ数年の急速な宇宙探査の発展は我々の常識を変えつつある。
この広大な宇宙に、はたして、知的生命の住む第2の地球はあるのだろうか。

2年前には火星が6万年ぶりに大接近し、毎晩、赤々と夜空に輝いた。火星のオリンポス火山は、高さ2万6千メートル、裾野の直径は620kmで、太陽系最大の火山だ。また、火星で最も目立つのがマリネリス渓谷。深さ7千メートル、長さ4千kmもある巨大な裂け目である。そのほか、火星にかって湖や海が存在したことを思わせる地形や岩石が数多く見つかっているという。
火星一つをとっても天体はこれほどに面白い。

本書は、ひとつのトピックスを見開き2ページで解説する、親しみやすい構成となっている。図版や写真も豊富で、奥深い天文の世界へといざなう入門書として、楽しく読める一冊である。

監修者の縣博士は国立天文台助教授・普及室長で、NHK高校講座、放送大学講師などを勤められ、著書には『宇宙をみせて』(共著・恒星社)をはじめ幾多の天文に関する教育書、児童書がある。
(気象予報士・森川達夫)

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