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2003年8月

2003年8月の状況

◆エルニーニョ監視海域(北緯4度〜南緯4度、西経150度〜西経90度)の8月の海面水温の基準値(1961〜1990年の30年平均値)との差は+0.3℃

◆8月の太平洋赤道域の海面水温は、東経155度から東経175度にかけてと西経170度および西経135度付近、西経110度から西経100度にかけてと西経85度以東で平年より0.5℃以上高かった。また、+1℃以上の正偏差が8月中旬以降東経165度付近に現れた。一方、西経120度付近では-0.5℃以下の負偏差が見られた

◆南方振動指数は0.0。(貿易風の強さの目安。正の値は貿易風が強いことを示す。)

◆太平洋の赤道に沿った表層(海面から深度数百mまでの領域)水温は、東経160度から東経175度の深度50mから深度125mにかけてと、東経140度の深度200mから西経160度の深度150mにかけて+1℃以上の正偏差が見られた。
一方、西経140度から西経105度の深度70mから深度140mでは-1℃以下の負偏差が見られた。太平洋の赤道に沿った海面から深度260mまでの平均水温平年偏差の経度-時間断面図では、7月末に西経150度付近に現れた-0.5℃以下の負偏差域が東進し、8月末には西経120度から西経105度にかけて見られた。
一方、8月初めに日付変更線以西で見られた+0.5℃以上の正偏差域は東へ拡がり、8月末には西経155度以西を占めた。


今後の見通し(2003年9月〜2004年3月)

8月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は+0.3℃、南方振動指数は0.0であり、7月の値から大きな変化はない。太平洋赤道域の表層水温に関しては、8月末現在、東部で負偏差域の、中部で正偏差域の東進が認められるものの、それらの振幅は小さく、今後監視海域の基準値との差を大きく変化させるには至らないと考えられる。このように、現在の太平洋赤道域の大気・海洋は平年に近い状況にあり、直ちにエルニーニョ現象あるいはラニーニャ現象に向かう兆候は見られない。
エルニーニョ予測モデルは、予測期間中、監視海域の海面水温が基準値に近い値で推移すると予測している。また、過去の統計によると、監視海域の海面水温の基準値との差は秋から冬にかけて持続する傾向が強い。
以上のことから、監視海域の海面水温は、秋から冬にかけて基準値に近い値で推移する可能性が高い。





2003年8月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い



エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差(1979年1月〜2003年8月)
緑線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。


2002年 2003年
エルニーニョ監視指数 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月
基準値との差(℃) +0.9 +1.1 +1.5 +1.4 +0.8 +0.6 +0.1 +0.0 -0.6 -0.2 +0.4 +0.3
5か月移動平均(℃) +1.0 +1.1 +1.2 +1.1 +0.9 +0.6 +0.2 0.0 -0.1 0.0

南方振動指数 -0.5 -0.5 -0.4 -1.0 -0.1 -0.5 -0.3 -0.1 -0.6 -0.9 +0.2 0.0


7月 9月



資料提供:気象庁
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