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2003年10月

2003年10月の状況

◆エルニーニョ監視海域（北緯4度〜南緯4度、西経150度〜西経90度）の10月の海面水温の基準値（1961〜1990年の30年平均値）との差は+0.6℃。

 ◆10月の太平洋赤道域の海面水温は、東経155 度から西経140 度にかけてと西経130 度から西 経110 度にかけて、および西経90 度付近で平年より0.5℃ 以上高く、東経165 度付近では平年より1℃以上高かった。

◆南方振動指数は-0.1。（貿易風の強さの目安。正の値は貿易風が強いことを示す。）

◆太平洋の赤道に沿った表層（海面から深度数百mまでの領域）水温は、東経170 度以西の深度100m から深度200m を中心に平年より1℃以上高く、東経145 度の深度170m 付近では+2℃以上の正偏差が見られた。一方、西経105 度の深度100m 付近および西経90 度の深度70m 付近では−1℃ 以下の負偏差が見られた。太平洋の赤道に沿った海面から深度260m までの平均水温平年偏差の経度− 時間断面図では、10 月初めに東経165 度以西に見られた+1℃以上の正偏差域は、10 月末には東経175 度以西まで拡がった。


今後の見通し（2003年11月〜2004年5月）

10 月の太平洋赤道域では、中部から東部にかけて海面水温の正偏差が強まった。エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は、9 月の＋ 0.2℃ から増加し、＋0.6℃となった。しかしながら、10 月の南方振動指数は−0.1 で、貿易風の強さはここ数か月平年並で推移している。また、太平洋赤道域の表層水温に関しても、中・東部で顕著な正偏差が認められず、今後監視海域の海面水温の基準値との差をさらに増大させるような正偏差域の東進も見られない。したがって、10 月の監視海域の海面水温に見られた正偏差の強まりがそのまま持続する可能性は低い。
エルニーニョ予測モデルは、監視海域の海面水温の基準値との差が秋から冬にかけてやや減少し、その後次第に増加すると予測している。

以上のことから、監視海域の海面水温は、秋から冬にかけて基準値に近い値をとり、その後は基準値よりやや高い値で推移するとみられるが、予測期間中にエルニーニョ現象やラニーニャ現象が発生する可能性は、現在のところ低いと考えられる。ただし、太平洋赤道域西部の海洋表層で暖水が蓄積しつつあることから、春に関しては今後の推移を注意深く監視する必要がある。



2003年10月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤：28℃以上　　(下)青：平年より低い



エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差(1979年1月〜2003年10月）
緑線は5か月移動平均値
赤：エルニーニョ現象　青：ラニーニャ現象　発生期間
気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。


 2002年 2003年
エルニーニョ監視指数 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
基準値との差(℃) +1.5 +1.4 +0.8 +0.6 +0.1 +0.0 -0.6 -0.2 +0.4 +0.3 +0.2 +0.6
5か月移動平均(℃) +1.2 +1.1 +0.9 +0.6 +0.2 0.0 -0.1 0.0 0.0 0.3

南方振動指数 -0.4 -1.0 -0.1 -0.5 -0.3 -0.1 -0.6 -0.9 +0.2 0.0 -0.1 -0.1

9月
11月

資料提供：気象庁
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