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2005年11月

●太平洋赤道域の海面水温は、東部の負偏差が強まった。海洋表層(海面から深度数百mまでの領域)の水温は、西部で正偏差、東部で負偏差が見られた。太平洋赤道域の大気下層では西部を中心にほぼ全域で東風偏差が卓越した。

●エルニーニョ監視海域の海面水温は、今冬は基準値(1961〜1990年の30年平均値)よりやや 低い値で推移し、その後春にかけて基準値に近づくとみられる。予測期間中にエルニーニョ現 象やラニーニャ現象が発生する可能性は低い




2005年11月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い

2005年11月の状況

◆エルニーニョ監視海域(北緯4度〜南緯4度、西経150度〜西経90度)の11月の海面水温の基準値(1961〜1990年の30年平均値)との差は−0.6℃だった。

◆南方振動指数は-0.3(速報値)だった。(貿易風の強さの目安。正の値は貿易風が強いことを示す。)

◆11月の太平洋赤道域の海面水温は、西経130度から西経85度にかけて平年より0.5℃以上低 く、西経110度から西経90度にかけては−1℃以下の負偏差が見られた。一方、東経155度から東経170度では平年より0.5℃以上高かった。

◆太平洋の赤道に沿った海面水温平年偏差の経度−時間断面図によると、10月下旬に西経100度から西経85度にかけて見られた−0.5℃以下の負偏差域は、11月下旬には西経130度以東まで拡がった。
一方、東経155度から東経170度にかけては、引き続き+0.5℃以上の正偏差が見られた。

◆太平洋の赤道に沿った表層(海面から深度数百mまでの領域)水温は、西経150度以東、深度150m以浅の広い範囲で平年より1℃以上低く、西経140度から西経85度にかけての深度150mから50mでは−2℃以下の負偏差が見られた。
一方、東経165度以西の深度75m付近及び深度175m付近では平年より1℃以上高かった。

◆太平洋の赤道に沿った海面から深度260mまでの平均水温平年偏差の経度−時間断面図によると、11月上旬に西経130度付近に現れた−1℃以下の負偏差は、11月末には西経140度から西経110度にかけて見られた。
一方、10月下旬に東経150度以西に見られた+0.5℃以上の正偏差は、11月末にはその東端が日付変更線付近まで拡がった。7月以降、日付変更線付近を境に西で正偏差、東で負偏差の状態が継続している。

◆11月の太平洋赤道域の対流活動は、インドネシア付近で平年より活発、日付変更線付近では 平年より不活発だった。

◆中部太平洋の赤道東西風指数は、大気の上層で平年並、下層で東風偏差を示していた。

◆11月の大気下層では、赤道季節内振動の通過に対応して、上旬に日付変更線以東で東風偏差が顕著だった。10月以降、東経150度付近を中心に太平洋赤道域のほぼ全域で東風偏差となっている。


今後の見通し(2005年12月〜2006年6月)

11月の太平洋赤道域の海面水温は、東経160度付近で10月に引き続き正偏差が見られたものの、東部では西経100度付近を中心に負偏差が強まった。11月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は、10月の−0.1℃から−0.6℃となった。

東部太平洋赤道域では、4月から8月まで継続した海面水温の正偏差が9月に負偏差に転じ、11月もその傾向が持続している。また、海洋表層では東部で水温負偏差が卓越しており、大気下層においても西部を中心に太平洋赤道域のほぼ全域で東風偏差となっている。

このため、東部太平洋赤道域における海面水温の負偏差傾向が直ちに解消することは考えにくい。
しかしながら、海洋表層の日付変更線付近を東進中の水温正偏差が今後1〜2か月のうちに東部に到達し、東部の海洋表層水温の負偏差を弱めると見込まれること、日付変更線以東の大気下層では東風偏差ではあるものの、11月中旬以降は11月上旬ほどの強まりが見られないことから、11月に見られた東部の海面水温負偏差の強まりは一時的なものになると考えられる。

エルニーニョ予測モデルは、監視海域の海面水温が、 今冬は基準値よりやや低い値で推移し、その 後春にかけて基準値に近づくと予測している。
以上のことから、、監視海域の海面水温は、今冬は基準値よりやや低い値で推移し、その後春にかけて基準値に近づくとみられ、予測期間中にエルニーニョ現象やラニーニャ現象が発生する可能性は低いと判断される。





エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差(上)と南方振動指数(下・!印は速報値)
(1995年1月〜2005年11月)

太線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。


2004 2005年
エルニーニョ監視指数 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月
基準値との差(℃) +0.7 +0.4 -0.1 +0.1 +0.5 +0.6 +0.5 +0.6 +0.5 -0.2 -0.1 -0.6
5か月移動平均(℃) +0.5 +0.4 +0.3 +0.3 +0.3 +0.4 +0.5 +0.4 +0.2 0.0
南方振動指数 -0.7 +0.3 -2.2 +0.2 -0.5 -1.2 +0.4 +0.1 -0.6 +0.3 +1.2 !-0.3

10月
12月

資料提供:気象庁
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