特別コラム「昔の予報官」

<< 最初 < 前 8 9 10 11 12 次 > 最後 29 >>
災害観測衛星 来年打ち上げ
2011.9.30
森川 達夫(株式会社ウエザーミロ代表・気象予報士)
災害観測用の小型衛星が2012年末に打ち上げられる。
これまでは東日本大震災の被災地を地球観測衛星「だいち」が撮影していた。それが4月に故障したため、新しく開発中の小型衛星が12年度中に打ち上げられ、災害監視に活用されることになった。

この小型衛星は重量500kgと軽量だが、大型衛星に劣らない機能を備えており、低コストで短期間に開発される。90分で地球を一周し、晴天の昼間には地上を50センチ単位の高い精度で撮影することができる。画像の解像度も「だいち」に比べて大幅に改善される計画である。

もともとは地図作製や地上データの収集などが目的だったが、今後は災害観測に活躍することになり、さらに新興国など海外への輸出も期待されている。
ひまわり 放射能は除染されるのか・・・
2011.9.18
森川 達夫(株式会社ウエザーミロ代表・気象予報士)
福島第一原発の放射能漏れ事故に関して、土壌汚染の除去実験を行っていた農水省は、「放射性セシウム」を吸収するとされていたヒマワリには「ほとんど効果がない」との結果を発表した。
 一方、表土を削り取る手法では効果はあったものの、大量に発生する汚染土をどう処理するか、今後の課題ではある。

実験は今年5月から福島県飯館村などの農地70アールで行われた。
(1)表土の除去、(2)水で攪拌する、(3)土壌を入れ替える、(4)ヒマワリなど植物に吸収させる の4工程について実験した。
 このうち、最も効果が薄かったのは、(4)ヒマワリ であった。5月に種をまき8月に開花したヒマワリは、1平方メートル当たり107万ベクレルの放射性セシウムのうち、吸収できたのは僅か2000分の1に留まった。

 一方、(1)表土の除去(削り取り)は、深さ4センチまで除去した場合、セシウムは25%に低下、さらに、牧草が生えていれば3センチ削ると3%まで大きく低下した。
国の基準では、セシウムが土壌1キログラム当たり5000ベクレルを超える水田については、米の作付けが制限されている。
高温注意情報とは
2011.7.22
森川 達夫(株式会社ウエザーミロ代表・気象予報士)
気象庁が今年の夏からを発表することになった「高温注意情報」とは?

予想される最高気温が35度以上で、気象条件から見て熱中症になる人が
多くなる可能性が高いときに発表する情報であり、7月13日からはじまった。 
この情報は2通りあって、翌日の予報に基づいて前日に発表するものと、其の日の予想に基づいて当日の朝発表するものがある。

今年は、福島第一原発事故の影響で、電力不足が懸念され家庭にも節電が求められている。このため、暑いときにもエアコンの使用を控えたり、気温を低く設定しなかったりして、熱中症になる人が多発することが案じられる。
いまのところ、電力不足が予想されない沖縄と北海道は対象になっていない。一方、青森と宮城の2県は、33度以上の気温が予想されたときには出されることになっている。

今年の夏は、昨年ほどの記録的な猛暑にはならないと予想される。しかし、東日本と西日本では晴れの日が多く、気温も高めとみられる。情報が出たら、水分や塩分をこまめに取り、エアコンを上手に使って熱中症を予防したい。
熱中症を予防する
2011.6.13
森川 達夫(株式会社ウエザーミロ代表・気象予報士)
(信州大 能勢教授・横浜国大 田中教授の研究をもとに)

今夏は電力不足で冷房が制限されるため、熱中症の増加が懸念される。
暑さが本格化する前、今のうちに運動をして、「暑さに強い体つくり」をしたいものである。

「日本生気象学会」は5月、「熱中症予防の緊急提言」をまとめた。
本格的な夏が来るまえの今の時期こそ、ジョギングなど少し汗をかく程度の運動が必要だという。

---------------------------------------------------------------
(1)3・3・3
3分間速足で歩く。続いて 3分間ゆっくり歩く。
これを1日30分。1週に3日。そして4週間つづける。
朝夕の涼しい時間に軽い服装でやるのがポイント

(2)運動の直後に飲む
牛乳、ヨーグルト、スポーツドリンクなど
血液中にタンパク質が増えて暑さに強くなり、熱中症の予防に役立つ

(3)水を一口
暑いときは、少量の水で口をうるおす

---------------------------------------------------------------

この運動の効果について、信州大・能勢教授(スポーツ医学)は
「体内の血液量が増えて体の熱が外に逃げやすくなり、体温の調節機能が改善する。また発汗作用が強まり、熱中症の予防になる」
運動を続けた人たちの血液量や発汗量は、現実に増えて体質改善につながることが実証されたという。

暑い時期に入ってからは、以下のような対策を心掛ける。
---------------------------------------------------------------
(1)衣服の工夫。下着は吸湿性、速乾性のある化学繊維混紡のものがいい。シャツと下着の間の通気性がよくなる。 
(2)冷却グッズもおすすめ。アイスバッグ、冷却パッドなど。
(3)水分の補給。こまめに少量の水分をとる。汗をかくまえ、喉が渇く前にスポーツドリンクを飲むのもよい。
---------------------------------------------------------------

「適度に汗をかくことは、熱中症予防だけでなく健康づくりにもなる」と田中教授はいう。
ゴーヤを育てよう
2011.5.9
窓をゴーヤの緑で覆う「みどりのカーテンを作ろう」。東京・練馬区が区民の参加を募ったところ、応募が殺到している。夏の電力不足が話題になっていることから、ことのほか関心が高いようだ。
緑のカーテン。ネットにゴーヤを這わせて日差しを防ぎ、葉からは水分が蒸散して室温も下がる。地球温暖化対策としても一役買うことができる。
 練馬区では、2年前から庁舎の外壁にヘチマのカーテンをつくって調べたところ、庁内の室温が2〜3度下がることがわかった。今年4月から、区内の住民や事業所を対象に、区民モニターとして参加を呼びかけている。「クーラーを使わず室温をさげられ、節電対策にもなる」。
ゴーヤの苗2株とネット(180センチ×90センチ)、それに栽培マニュアルもセットにして無料配布されるそうだ。

 ゴーヤの栽培はとても簡単、やってみてはいかが。
深めのプランターと培養土(野菜用)を用意する。あとは、化成肥料をときどきと、水遣りを土が乾かない程度に。おいしく食べたければ、有機肥料(堆肥や鶏糞など)がよいという。
<< 最初 < 前 8 9 10 11 12 次 > 最後 29 >>