特別コラム「昔の予報官」

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ドラマの季節感
2005.9.19
高橋 和也『気象人』編集長
7月から始まった、1クールのドラマ。ほとんどが先週末に最終回を迎えていたが、学園ドラマは短期間に1年分を凝縮しているものが多かった。つまり、冬から初春(卒業)にかけてのシーンを、夏に撮影したとおぼしきものが目立つ。

「ドラゴン桜」は、受験が行われた冬のシーンが、どう見ても暑そうにしか映らなかった。まず、木々が青々としすぎていて、冬らしさを感じない。息が白くなる演出は良いのだが、雨天ならまだしも東京の日中の乾燥した状態で、あんなに目に見える状態にはならないはず。

ここで思うのである。マフラーやコート、手袋などの小道具、息の白さや寒そうな演技よりも、「冬」らしさを出す方法はないものか。

それは、「太陽」をいじくる方法が良いかと・・。画面全体に微妙な赤みを出したり、太陽高度の低さを意識して光線を弱くしてみたりすると、冬っぽさが出せると思うのだが。あとは、俳優の肌を粉っぽくするとか。
台風11号
2005.8.25
高橋 和也『気象人』編集長
8月も終盤のこの時期、強い台風が近付いている。例のごとく、過去の出来事を思い出している・・。

1993年8月の11号。千葉・銚子市付近を通過し、北海道に上陸した台風である。この時、東京では日降水量が234.5ミリに達し、歴代4位の記録となった。電車もストップして、友人が転がり込んで来た記憶もある。この台風は関東をかすめる形だったが、台風の中心を取り巻く発達した雨雲が狙い撃ちしたかのように、東京都心を次々と通過したのである。関東地方に上陸しなくても、しっかり雨を降らせるサンプルとなった。

さて、今回の台風だが、同じように大雨に対して注意が必要だ。前線も存在するし、25日夜遅くには東海〜関東に上陸する予想。何より、台風のスピードが遅いことが問題となる。影響が長引くことも考えられ、東京都心でも200ミリを超す大雨となる恐れがある。山沿いの多い所では500ミリに達する見込みなので、関東地方の各河川の増水も心配な状況になってきた。
フェイントアブラゼミ
2005.6.27
高橋 和也『気象人』編集長
6月26日、東京・気象庁で「アブラゼミ初鳴」を観測した。平年よりも31日、なんと1カ月も早く、これまでの最早記録(7月10日・1955年)までも塗り替えたわけで。

確かに18日以降の最高気温は、ほとんどの日が平年を上回り、24日からは3日連続の真夏日だった。盛夏に活動するアブラゼミが、喜んで鳴き始めてもおかしくない気温だ。しかし夏のセミといえば、まず先にニイニイゼミから鳴き始めるのではなかったか?

筆者がまだ高校生だった頃、梅雨明け前のある朝のこと。前日まで静かだった神社の大木から、ニイニイゼミの「チー」という鳴き声が聞こえた。そして「ああ、真夏がすぐそこまで来てる」と感じたものである。

まあ、まさかアブラゼミとニイニイゼミの鳴き声を聞き違えたなんてことはないと思われるが・・・でも、もし都市気候が関わっているとしたら、東京はこの先いったいどうなるのかと思ってしまう。
BBC ワイルドウェザー
2005.6.3
高橋 和也『気象人』編集長
6月ともなれば、さすがに空気の重さを感じる。2日の夜、東京は雨。窓を開けると、いつも見えるビルが霧の向こうに隠れていた。なんだか部屋の中も、空気が止まってしまったみたいだ。これから数ヶ月は、日本もれっきとした(亜)熱帯アジアの仲間に入る。

そんな時は世界中のあらゆる気候の中から、自分のお気に入り(もちろん西岸海洋性)をピックアップして空想に耽ったりする。でも、そんなことをしなくても、テレビの映像で十分涼しくなった。今週の月〜木曜、BS朝日で「BBC WILD WEATHER」という番組が放送されていたのである。

1日目は「風」、2日目は「雨」、3日目は「暑さ」、そして昨夜の4日目は「寒さ」。雪と氷の世界は本当に圧巻で、特にカナダで起きた大規模な「雨氷」の映像には息をのんだ。そして、寒さがあるおかげで、気候のバランスが保たれていることもよく伝わってきた。

編集テクニックもかなりのもので、エンターテイメントとしても十分に楽しめる内容だった。やはり科学番組は、楽しんで観られるものじゃないと。そう思いながらDVDにダビングしたのだが、デジタルのため容量が大きすぎたのかエラー発生。二度と観られなくなってしまった(デジタルのダビングは1回限り、HDDのデータは同時に消えてしまう)。惜しい、惜しすぎる。今は再放送を願うばかりである。
寒気週間?
2005.5.10
高橋 和也『気象人』編集長
9日、北海道に「低温に関する気象情報」が発表された。この先1週間くらいは、北部や東部で平年を5℃前後下回る寒さが続くという。

北半球全体に目を向けてみると、ヨーロッパ上空にも強い寒気が流れ込んでいるようである。ドイツでは日本海側の「しぐれ」のような天気が続いていて、あの「ブロッケンの妖怪」で有名なブロッケン山(標高1142m)では積雪20センチを記録したとか。

上空寒気が入りやすい初夏、という点で思い出すのが1992年(平成4年)の5月だ。東京で雷日数最多記録(7日)を記録した年であり、未だその記録は破られていない。このときは下旬に500hPa−24℃以下の寒気が日本海西部をゆっくり南下したため、東〜西日本で連日のように各地で雷雨が頻発していた。

この先1週間の寒気流れ込みは北日本が中心なので、東〜西日本が連日のように雷に祟られることはおそらくないだろう。でも、あさって(12日)だけは、東日本の太平洋側でも雷雨があるかもしれないので注意。
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