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2002年8月

2002年8月の状況

◆エルニーニョ監視海域の8月の海面水温の基準値(1961〜1990の平均値)との差は+0.7℃

◆8月の太平洋赤道域の海面水温は、東経175度から西経135度にかけて平年より1℃ 以上高く、西経170度付近では+1.5℃以上の正偏差が見られた。一方、東経120 度から東経130度、および東経160度付近と西経85度以東では平年より低かった。

◆南方振動指数は-1.2。(貿易風の強さの目安。正の値は貿易風が強いことを示す。)

◆東経175度から西経115度にかけての深度100m付近を中心とする広い範囲で平年より2℃以上高かった。太平洋の赤道に沿った海面から深度260mまでの平均水温平年偏差の経度・時間断面図では、東経175度から西経115度にかけて、8月を通じて+1℃以上の正偏差域となっていた。


今後の見通し(2002年9月〜2003年3月)

8月の監視海域の海面水温の基準値からの差は7月と同じく+0.7℃で、5か月移動平均値も3か月連続して+0.5℃以上となっている。また、南方振動指数も-1.2と6か月間連続して負の値となっている。このほか、太平洋の赤道付近では、海面水温で東経175度から西経135度にかけて+1℃以上の、深度100m付近の水温で東経175度から西経115度にかけて+2℃以上の、それぞれ正偏差域となっている。これらの状況は、エルニーニョ現象が本格化してきたことを示している。

エルニーニョ予測モデルは、監視海域の海面水温の基準値との差が今後年末にかけてやや増大する傾向を示し、予測期間中を通じて正の値が続くと予測している。

以上のことから、現在のエルニーニョ現象は少なくとも今冬いっぱい続くと予測される。





2002年8月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い

 
この夏の世界の天候とエルニーニョ現象との関連について

●この夏の天候が、過去の統計から求めたエルニーニョ現象発生時の特徴と広範囲で共通している地域として、インドネシアからオーストラリア、インド西部、米国東部の少雨、ヨーロッパの多雨が挙げられる。

●熱帯域では太平洋中部から西部を中心にエルニーニョ現象に伴う特徴的な大気の循環や対流活動の偏りが現れており、インドネシア、オーストラリアおよびインド西部の少雨についてはエルニーニョ現象の影響を受けている可能性が大きい。

●一方、エルニーニョ現象発生時には中・高緯度においても亜熱帯ジェットが平年より南下する(500hPa では中緯度帯が負偏差になる)などの影響が現れるが、この夏は太平洋東部から大西洋にかけてはむしろ亜熱帯ジェットが平年より北上(500hPa では中緯度帯が正偏差)している。このように北米から大西洋にかけての中・高緯度の大気の流れはエルニーニョ現象に伴う特徴を持っていないことから、北米東部の少雨傾向やヨーロッパの多雨傾向はエルニーニョ現象の影響を受けている可能性は小さい。

(9月10日 気象庁発表)





エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差(1978年1月〜)
緑線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。


2001年 2002年
エルニーニョ監視指数 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月
基準値との差(℃) -0.4 -0.4 -0.4 -0.4 -0.4 +0.1 +0.3 +0.4 +0.6 +0.9 +0.7 +0.7
5か月移動平均(℃) -0.2 -0.3 -0.4 -0.3 -0.1 0.0 +0.2 +0.5 +0.6 +0.7

南方振動指数 +0.1 -0.1 +0.6 -0.8 +0.3 +0.7 -0.2 -0.1 -1.3 -0.4 -0.7 -1.2

7月
9月

資料提供:気象庁
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