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2006年8月

● 太平洋赤道域の海面水温は、中部から東部にかけて平年より高かった。海洋表層(海面から深度数百mまでの領域)の水温は、西部から中部にかけて正偏差だった。太平洋赤道域の対流活動はニューギニア島東方で活発だったことを除き、ほぼ平年並だった。

●エルニーニョ監視海域の海面水温は秋から冬にかけて一時的に基準値よりやや高い値となることはあるものの、概ね基準値に近い値で推移すると予測され、エルニーニョ現象が発生する可能性は低い。




2006年8月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い

2006年8月の状況

◆エルニーニョ監視海域(北緯5度〜南緯5度、西経150度〜西経90度)の8月の海面水温の基準値(前年までの30年間の平均値)との差は+0.4℃だった。

◆南方振動指数は-1.3だった。(貿易風の強さの目安。正の値は貿易風が強いことを示す。)

◆8月の太平洋赤道域の海面水温は、東経165度から西経130度にかけてと西経115度から南米沿岸にかけて平年より0.5℃以上高い正偏差が見られた。東経170度から西経175度にかけて平年より1℃以上高い正偏差が見られた。

◆太平洋の赤道に沿った海面水温平年偏差の経度-時間断面図によると、7月末には東経165度から西経160度にかけてと西経110度以東に+0.5℃以上の正偏差が見られたが、8月下旬には東経165度から南米沿岸にかけて広く見られた。8月下旬には日付変更線付近で+1.5℃以上の正偏差が見られた。

◆8月の太平洋の赤道に沿った表層(海面から深度数百mまでの領域)水温は、東経150度以西の深度100mから200mにかけてと東経165度から西経130度にかけての深度40mから190mにかけて平年より1℃以上高かった。西経175度、深度130m付近には+2℃以上の正偏差が見られた。一方、東部の西経115度から90度にかけての深度50mから110mにかけて-0.5℃以下の負偏差が見られた。

◆太平洋の赤道に沿った海面から深度260mまでの平均水温平年偏差の経度-時間断面図によると、7月末に東経160度以西で見られた+0.5℃以上の正偏差は、8月下旬には東経150度まで後退した。一方、7月末に東経165度から西経135度にかけて見られた+0.5℃以上の正偏差は、8月下旬には東経160度から西経120度に見られた。8月中旬以降、西経170度付近に+1℃以上の正偏差が見られた。

◆8月の中部太平洋の赤道東西風指数は、大気の上層、下層ともに平年並を示していた。

◆8月上旬には、日付変更線以東の大気下層で東風偏差が見られた。8月中旬から下旬にかけて東経160度付近で西風偏差が見られ、8月下旬には西経120度付近にも西風偏差が見られた。赤道季節内振動は8月中は不明瞭だった。


今後の見通し(2006年9月〜2007年3月)

8月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は+0.4℃だった。

8月の太平洋赤道域の海面水温は、中部から東部にかけて平年より高かった。

海洋表層の水温は、西部から中部にかけて正偏差だった。太平洋赤道域の対流活動はニューギニア島東方で活発だったことを除き、ほぼ平年並だった。

  8月上旬には太平洋赤道域の中部から東部の大気下層で東風偏差となったため、7月から8月上旬にかけて見られた中部から東部への暖水の東進は弱められた。その後8月中旬から東経160度付近で西風偏差が見られ、下旬には東部へ広がった。これにともない、中部の表層水温が上昇し、8月下旬には中部から東部にかけての広い範囲で海面水温の正偏差が見られた。今後、表層の暖水が東進すれば、秋にかけて監視海域の海面水温偏差がさらに上昇すると考えられる。しかし、2006年春のラニーニャ現象終息以降、中部から東部にかけての大気下層の東西風偏差はおよそ1か月毎に符号を変えており、今後再び東風偏差に転じて暖水の東進を弱めることも考えられる。

エルニーニョ予測モデルは、監視海域の海面水温が、秋から冬にかけて基準値に近い値で推移すると予測している。

以上のことから、エルニーニョ監視海域の海面水温は、秋から冬にかけて一時的に基準値よりやや高い値になることはあるものの、概ね基準値に近い値で推移すると予測され、エルニーニョ現象が発生する可能性は低い



エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度



エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差(上)と南方振動指数(下・!印は速報値)
(1996年1月〜2006年8月)

太線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。


2005年 2006年
エルニーニョ監視指数 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月
基準値との差(℃) -0.2 -0.4 -0.9 -1.2 -0.9 -0.4 -0.8 -0.2 0.0 0.0 +0.1 +0.4
5か月移動平均(℃) -0.2 -0.5 -0.7 -0.8 -0.8 -0.7 -0.5 -0.3 -0.2 +0.1
南方振動指数 +0.3 +1.2 -0.3 +0.2 +1.2 +0.1 +1.3 +1.0 -0.8 -0.4 -0.8 !-1.3

【 海面水温データと基準値の変更について 】
2006年3月より新しい海面水温データへの変更に伴い、エルニーニョ監視海域が北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度になりました。
また、海面水温の基準値はその年の前年までの30年間の各月の平均値に変更されました。
▲詳しくは気象庁発表資料をご参照下さい。

7月
9月

資料提供:気象庁
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