●太平洋赤道域の海面水温は、東部で顕著な負偏差、西部で顕著な正偏差だった。海洋表層（海面から深度数百mまでの領域）の水温では、中部から東部にかけて顕著な負偏差が見られた。
中部の大気下層では東風偏差が持続した。これらの状態は、ラニーニャ現象時の特徴を示している。
●エルニーニョ監視海域の海面水温は、予測期間中、基準値より低い値で推移すると予測される。
ラニーニャ現象は冬まで続く可能性が高い。
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2007年6月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤：28℃以上 (下)青：平年より低い
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| 2007年6月の状況 |
◆エルニーニョ監視海域（北緯5度〜南緯5度、西経150度〜西経90度）の6月の海面水温の基準値（前年までの30年間の平均値）との差は-0.6℃だった。
◆南方振動指数は+0.5だった。(貿易風の強さの目安。正の値は貿易風が強いことを示す。)
◆6月の太平洋赤道域の海面水温は、西経130度以東で平年より0.5℃以上低く、西経105度以東では平年より1℃以上低かった。一方、東経140度から東経170度にかけては+0.5℃以上の正偏差が見られた。
◆太平洋の赤道に沿った海面水温平年偏差の経度-時間断面図によると、5月末に西経135度以東で見られた-0.5℃以下の負偏差は、6月下旬には西経120度以東で見られた。また、5月末に西経105度以東で見られた-1℃以下の負偏差は、6月下旬には西経110度以東で見られた。一方、5月末に東経145度から日付変更線にかけて見られた+0.5℃以上の正偏差は、6月下旬には東経 140度から東経165度にかけて見られた。
◆インド 洋赤道域の海面水温は、東経50度から東経95度にかけて平年より0.5℃以上高かった。
◆6月の太平洋の赤道に沿った表層（海面から深度数百mまでの領域）水温は、西経160度から西経80度にかけての海面から深度150mで平年より1℃以上低かった。西経130度から西経80度にかけての深度20mから120mでは-2℃以下の負偏差が見られた。一方、東経140度から東経150度にかけての深度80mから200mでは+1℃以上の正偏差が見られた。
◆太平洋の赤道に沿った海面から深度260mまでの平均水温平年偏差の経度-時間断面図によると、5月末に西経130度から西経85度にかけて見られた-1℃以下の負偏差は6月中旬に消失し、6月下旬には西経165度から西経135度にかけて-1℃以下の負偏差が現われた。一方、5月下旬に西経175度以西で見られた+0.5℃以上の正偏差は、西に後退し6月下旬には東経155度以西で見られた。
◆6月の太平洋赤道域の対流活動は、東経105度から東経120度にかけて活発、東経135度から西経170度にかけて不活発だった。
◆6月の日付変更線付近のOLR指数は不活発を示し、中部太平洋の赤道東西風指数は、大気の上層では西風偏差、下層では東風偏差を示していた。
◆6月の赤道季節内振動の対流活動の活発な位相は、上旬から中旬にかけて強まりながらインド洋を東進し、その後太平洋西部を東進しながらやや弱まった。季節内振動の位相に対応して、上旬から中旬にかけて西部太平洋赤道域で東風偏差が見られ、中旬から下旬にかけて中部と東部で東風偏差が見られた。
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| 今後の見通し（2007年7月〜2008年1月） |
6月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は-0.6℃だった。4月の5か月移動平均値は-0.5℃だった。
6月の太平洋赤道域の海面水温は、東部で顕著な負偏差、西部で顕著な正偏差だっ た。海洋表層の水温では、中部から東部にかけて顕著な負偏差が見られた。6月の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発で、中部太平洋赤道域の東西風は上層で西風偏差、下層で東風偏差だった。海洋と大気のこれらの状態は、ラニーニャ現象時の特徴を示している。
5月に西部に見られた海洋表層の水温の正偏差は、6月上旬にかけて中部まで進んだが、その後大気下層の東風偏差によって弱められた。6月中旬以降は中部から東部にかけて東風偏差が見られ、特に中部で表層水温の負偏差を強めた。こうした状況から、今後しばらくは東部の海面水温の負偏差を維持しやすい状態が続くと考えられる。
エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、予測期間中、基準値より低い値で推移すると予測している。
以上のことから、エルニーニョ監視海域の海面水温は、予測期間中、基準値より低い値で推移すると予測される。ラニーニャ現象は冬まで続く可能性が高い。
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エルニーニョ監視海域：北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度
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エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差(上)と南方振動指数(下・！印は速報値)
(1997年1月〜2007年6月）
太線は5か月移動平均値
赤：エルニーニョ現象 青：ラニーニャ現象 発生期間
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気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。 |
5月
7月