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2002年11月12日更新

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自然景観の読み方6
『雲と風を読む』


著者・中村和郎
発行所・株式会社岩波書店
初版・1991年11月5日
ISBN4-00-007826-7

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【本文より引用】
「日本の冬のモンスーンは、いうまでもなく、冬の間じゅうシベリアに発達する優勢な高気圧から吹き出される寒気です。北海道や本州ではおおむね北西の風ですが、南西諸島では北東の風になっています。このモンスーンは太平洋の上にまで流れ出して、そこで太平洋上の別の風系とはっきりとした境界をつくって接しています。」
「ところで、インドの夏のモンスーンはどこからやってくるのでしょうか。アラビア商人は、古くからアラビア海の風向が季節によって正反対になることを利用して、アフリカ大陸との間の往来に利用していました。この風のことをアラビア語でマウシムとよびましたが、それが英語のモンスーンになったのだといわれています。」
「インドのモンスーンはアラビア海どころか、大西洋からアフリカ大陸を横切って吹いてくる風ということになります。
いや、そうではなくて南半球側のインド洋上を吹いている南東貿易風が赤道を越えて北半球に入った後、地球の自転の影響で南西に向きを変えたという人もいます。」
(P84「モンスーン」より)

西高東低の冬型気圧配置の日が多くなり、北西季節風のシーズンになってきた。季節風にちなんで、上記の著書の中からモンスーンに関する部分を紹介した。 著者は東京大学を卒業して海外との研究にも携わって活躍した地理学者である。
モンスーン(monsoon)といえばアジア、といわれるほどモンスーンはアジアの雨季と密接な関係があり、日本では、とりわけ梅雨とは切っても切れない。

大気現象の源は空気の流れ、すなわち風だ。
風が変われば天気が変わる。目に見えない風を読むための手がかりが雲である。著者は中谷宇吉郎の名言「雪は天から送られた手紙である」を引用しながら、雲もまた、天からの手紙であると説く。
雲の分類、地域的な風の特性などを、図版や写真をたっぷり使ってやさしく解説する本著は、気象の入門書にぴったり。
また、断面図で解説した「地下鉄(新玉川線)の風」、生活の知恵が感じられる「砺波平野の屋敷林」など、身近な話題が満載なのもうれしい。

モンスーンの成因については、南半球から吹き出す気流によるというのが定説のようである。元ハワイ大学教授でモンスーンの権威である村上多喜雄(1986 )によれば、南半球の インド洋上の高気圧から吹き出す寒波が、ソマリジェット(アフリカ東方ソマリ海上空の強風)となり赤道を越えた後、コリオリの転向力によってアラビア海で南西のモンスーン風に変わる、という。
また、村上勝人(1995)はアジアに南西のモンスーンが卓越する理由として、同じ時期に南半球が冬、北半球が夏という日射熱量のコントラストのほか、、対流圏中層に達する高くて広大なチベット高原によりモンスーンはチベット高原の東を回って朝鮮半島の北まで吹き上がるという。

なんと壮大な話ではありませんか。来年の梅雨どきの天気図が楽しみです。(気象予報士・森川達夫)


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