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『気象人』 the mag for kishojin : 気象の本棚
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2002年7月1日更新
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ランティエ叢書6 『寺田寅彦 俳句と地球物理』
発行者・角川春樹
発行所・株式会社角川春樹事務所
初版・1997年9月18日
ISBN4-89456-085-2
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【本文より引用】
「鳶(とび)に油揚を攫(さら)われるということが実際にあるかどうか確証を知らないが、併(しか)しこの鳥が高空から地上の鼠(ねずみ)の死骸などを発見してまっしぐらに飛び下りるというのは事実らしい。」
(P34「鳶と油揚」より)
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名句「天災は忘れた頃にやってくる」を作ったとしてあまりにも有名な地球物理学者である(実際は、寺田寅彦の弟子であった物理学者・中谷宇吉郎が恩師との会話の中で発した言葉だという説などがあり、諸説紛々としている)。
フッと開いたこのページに釘付けになった。初出は1934年「工業大學藏前新聞」掲載の文章である。
要約すると、鳶が150メートルの高さから鼠と確認するには網膜で0.5ミクロンを識別することが必要だが、0.5ミクロンだと黄色光波の波長と同じであり、識別は困難とある。そして、この後が途方もなく面白い。
全編を通して、限りなく面白い。そして何より嬉しいのは、読むほどにいつの間にかいっぱしの物知り、いっぱしの科学者になった気がしてくることである。
漱石に師事した牛頓(ニュートン)先生(俳名)の「俳句集」も載せてある。その一句。
蝸牛(かたつむり)の角がなければ長閑(のどか)かな
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本当に、どこを開いてもおもしろい。
解説で南伸坊さんもふれていますが、まずタイトルがおもしろい。「ピタゴラスと豆」「鉛をかじる虫」「御馳走を喰うと風邪を引く話」…読みたくなりますよね。寺田寅彦の飄々とした人物像がいたるところに垣間見えます。
最近、気象の世界でも新しいことはよく知っているのに、昔のこととなるとどうも…という人が増えているような気がしますが、そんな方に是非読んでいただきたい。もうすぐ没後70年を迎える物理学者の文章とは思えない親しみやすさと、斬新な視点がいっぱい詰まっています。また、初めて寺田寅彦を読む方に、"ベスト盤"的な本書の構成は最適だと思います。
特にお天気キャスターを目指す人は、必読の一冊。(森田正光)
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