ラニーニャ現象が発生しているとみられる。
このラニーニャ現象は、冬から春までの間に終息する可能性が高い。
2011年10月の海面水温(上)と平年偏差(下)
2011年10月の状況
ラニーニャ現象が発生しているとみられる。
エルニーニョ監視海域の海面水温は基準値より低い値(基準値との差は-0.9℃)だった。太平洋赤道域の中部から東部にかけての海面水温は平年より低かった。太平洋赤道域の海洋表層の水温は、西部で平年より高く、中部から東部にかけて平年より低かった。これら海洋の状況は、ラニーニャ現象が発生していることを示している。一方、太平洋赤道域の大気では、西部で平年よりも対流活動が不活発で、西部から中部にかけての下層の東風が月平均では平年並の強さだった。
今後の見通し(2011年11月〜2012年5月)
西太平洋熱帯域:10月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値より低い値だった。今後、冬にかけて基準値に近づくと予測される。
インド洋熱帯域:10月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値より高い値だった。今後、冬にかけて基準値に近づくと予測される。
ラニーニャ現象は冬から春までの間に終息する可能性が高い。
エルニーニョ予測モ
デルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、冬から春にかけて基準値より低い値から基準値に近
い値へ推移すると予測している。今後、太平洋赤道域の西部に蓄積された海洋表層の暖水が
東進したとしても、東部の水温が基準値に近い値になるのは冬以降になると考えられる。以上のこ
とから、ラニーニャ現象は冬から春までの間に終息する可能性が高い。
西太平洋熱帯域:10月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値より低い値だった。今後、冬にかけて基準値に近づくと予測される。
インド洋熱帯域:10月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値より高い値だった。今後、冬にかけて基準値に近づくと予測される。
エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度
各監視指数の最近10年間の経過
(2001年1月〜2011年10月)
気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。
2010年 | 2011年 | |||||||||||
エルニーニョ監視指数 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 |
基準値との差(℃) | -1.6 | -1.5 | -1.4 | -0.8 | -0.7 | -0.3 | -0.1 | +0.1 | 0.0 | -0.4 | -0.6 | -0.9 |
5か月移動平均(℃) | -1.5 | -1.4 | -1.2 | -0.9 | -0.7 | -0.4 | -0.2 | -0.2 | -0.2 | -0.4 | ||
南方振動指数 | +1.5 | +3.0 | +1.8 | +1.9 | +2.0 | +2.2 | +0.4 | +0.4 | +1.2 | +0.5 | +1.1 | +1.0 |
資料提供:気象庁