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2002年5月

2002年5月の状況

◆エルニーニョ監視海域の5月の海面水温の基準値(1961〜1990の平均値)との差は+0.6℃

◆5 月の太平洋赤道域の海面水温はほぼ全域で正偏差となり、東経130 度〜西経140 度、西経100 度〜西経90 度で平年より0.5℃ 以上高く、日付変更線付近では平年より1℃以上高かった。5 月後半にはほぼ全域で+0.5℃ 以上の正偏差が見られた。

◆南方振動指数は-1.3(暫定値)。(貿易風の強さの目安。正の値は貿易風が強いことを示す。)

◆太平洋の赤道に沿った表層(海面から深度数百m)水温は、東経160 度〜西経175 度および西経160 度〜西経130 度の深度75m 付近で平年より1℃前後高かった。太平洋の赤道に沿った海面から深度260m までの平均水温平年偏差の経度・時間断面図では、5 月前半は概ね平年並だったが、5 月後半は東経145 度から西経140 度にかけて+0.5℃以上の正偏差が見られた。


今後の見通し(2002年6月〜2002年12月)

5月の監視海域の海面水温の基準値からの差は+0.6℃ と、今年になって増大する傾向が続いている。また、太平洋赤道域の海面水温はほぼ全域で正偏差となり、日付変更線付近の+1℃ 以上の正偏差域は4月より拡大した。太平洋の赤道に沿った海面から深度260mまでの平均水温は、5月後半に広い範囲で正偏差が強まる傾向が見られた。一方、南方振動指数は-1.3 (暫定値)で、貿易風も平年より弱まった。このように、太平洋赤道域の大気・海洋の状態には、エルニーニョ現象発生の兆候と見られる特徴が現れてきている。
エルニーニョ予測モデルは、監視海域の海面水温の基準値との差が6月から8月にかけて次第に増大し、その後も海面水温が基準値より高い状態が持続すると予測している。
以上のことから、監視海域の海面水温の基準値との差は今後次第に大きくなり、予測期間中にエルニーニョ現象が発生する可能性が高い。貿易風が平年より弱い状態がこのまま持続すれば、予測期間中の早い段階でエルニーニョ現象の発生に至ることも考えられるので、今後の推移を注意深く監視する必要がある。





2002年5月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い





エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差(1978年1月〜)
緑線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。
4月
6月

資料提供:気象庁
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