| 2002年6月の状況 |
◆エルニーニョ監視海域の6月の海面水温の基準値(1961〜1990の平均値)との差は+0.9℃。
◆6月の太平洋赤道域の海面水温は東経130度〜東経150度と、東経160度〜西経100度にかけて平年より0.5℃以上高く、東経17 度〜西経170度、西経160 度〜西経135 度、西経110 度付近では+1℃以上の正偏差が見られた。
◆南方振動指数は-0.4（暫定値）。（貿易風の強さの目安。正の値は貿易風が強いことを示す。）
◆太平洋の赤道に沿った表層（海面から深度数百mまでの領域）水温は、東経155 度の深度150m 付近から西経105 度の深度50m 付近にかけて平年より1℃以上高く、西経140 度から西経120 度にかけての深度60m 付近では+2℃以上の正偏差が見られた。太平洋の赤道に沿った海面から深度260m までの平均水温平年偏差の経度・時間断面図では、6 月初めに日付変更線付近に現れた+1℃ 以上の正偏差が東進し、6 月末に西経120 度付近に到達するのが見られた。
|
|
| 今後の見通し（2002年7月〜2003年1月） |
6 月の南方振動指数は-0.4 と貿易風の強さは平年並だったが、監視海域の海面水温の基準値からの差は+0.9℃と、6 か月間連続して増大している。また、太平洋赤道域の海面水温は6月になって中部・東部の広い範囲で+1℃以上の正偏差域が見られるようになった。
エルニーニョ予測モデルは、予測期間中を通じて監視海域の海面水温の基準値との差が6月と同程度から若干大きい状態が続くと予測している。
過去の事例では、夏に監視海域の海面水温が基準値より高いとき、冬まで高い状態が持続することが多い。
以上のことがらを総合的に判断すると、現在の太平洋赤道域はエルニーニョ現象の初期段階にある可能性が高く、今後監視海域の海面水温は基準値より1℃ 前後高い状態が続くと予測される。
|
|
|
|
2002年6月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤：28℃以上 (下)青：平年より低い
|
| 太平洋赤道域今までの経過 (7月10日 気象庁発表) |
●12月の西風バーストにより表層水温の正偏差が東進、3月に南米沿岸に達した。
●4月、5月と一時的に表層水温正偏差は弱まったが 、6月になって再び強まった。
●監視海域の海面水温は今年に入って基準値を上回るようになり、以後、基準値との差は増加を続けている。
●特に5月半ばの季節内変動により海面水温の偏差は 一気に増大し6月に入ってに+1℃を超える水温正偏差域が東部赤道域に拡大した。
●大気はほぼ平年並の状態が続いており、エルニーニョ現象の特徴とされる変化は現れていない。
なお、エルニーニョ現象に伴って現れる天候の特徴は今のところ、見られない。
|
|
5月
7月