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2003年2月

2003年2月の状況

◆エルニーニョ監視海域の2月の海面水温の基準値(1961〜1990年の平均値)との差は+0.6℃

◆2月の太平洋赤道域の海面水温は、東経165度から西経130度および西経90度付近で平年より0.5℃以上高く、東経175度から西経160度付近にかけては+1℃以上の正偏差が見られた。

◆南方振動指数は-0.5。(貿易風の強さの目安。正の値は貿易風が強いことを示す。)

◆太平洋の赤道に沿った表層(海面から深度数百m までの領域)水温は、東経170 度から西経130 度にかけての深度50m 付近から深度100m にかけて平年より1℃以上高かった。一方、西経165 度以西の深度100m から150m を中心とする領域および西経90 度以東の深度30m 付近では-1℃以下の負偏差が見られた。太平洋の赤道に沿った海面から深度260mまでの平均水温平年偏差の経度・時間断面図では、-0.5℃以下の負偏差域が東経160 度以西に、+0.5℃以上の正偏差域が2 月後半に西経160 度から西経130 度付近に見られたものの、2月を通じて+1℃以上の正偏差や-1℃以下の負偏差は見られなかった。


今後の見通し(2003年3月〜2003年9月)

2月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は+0.6℃と1月よりもさらに小さくなった。また、5か月移動平均値は今回のエルニーニョ現象が発生して以来、初めて減少に転じた。太平洋赤道域東部の表層水温も、2 月に入り正偏差が一段と弱まった。
このような状況は、今回のエルニーニョ現象が衰退期にあることを明瞭に示している。

過去の事例では、監視海域の海面水温がこの2 、3か月と同様の経過を辿った場合、夏までエルニーニョ現象が持続した例はない。

エルニーニョ予測モデルは、監視海域の海面水温の基準値との差が今後次第に増大し、夏以降は基準値より1℃前後高い値で推移すると予測している。しかし、予測モデルは海面水温を実際より高めに予測する傾向がここ1 、2 か月大きくなっており、このことを考慮する必要がある。

以上のこと、及び監視海域の海面水温の基準値との差を直ちに大きく増大させる要因が見られないことなどから判断して、監視海域の海面水温は次第に基準値に近づくと予測され、現在のエルニーニョ現象は春の間に終息する可能性が高い。その後、監視海域の海面水温は基準値に近い値で推移すると見られる。





2003年2月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い



エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差(1978年1月〜)
緑線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。


2002年 2003年
エルニーニョ監視指数 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月
基準値との差(℃) +0.3 +0.4 +0.6 +0.9 +0.7 +0.7 +0.9 +1.1 +1.5 +1.4 +0.8 +0.6
5か月移動平均(℃) +0.2 +0.5 +0.6 +0.7 +0.8 +0.9 +1.0 +1.1 +1.2 +1.1

南方振動指数 -0.2 -0.1 -1.3 -0.4 -0.7 -1.2 -0.5 -0.5 -0.4 -1.0 -0.1 -0.5

1月
3月

資料提供:気象庁
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