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2003年3月

2003年3月の状況

◆エルニーニョ監視海域の2月の海面水温の基準値(1961〜1990年の平均値)との差は+0.1℃

◆3月の太平洋赤道域の海面水温は、東経160 度から西経140度および西経90度から西経80度にかけて 平年より0.5℃以上高く、日付変更線付近および西経160 度付近では+1℃以上の正偏差が見られた。 一方、西経120度付近および西経105度から西経100度にかけては 平年より0.5℃以上低く、西経100度付近では−1℃以下の負偏差が見られた。

◆南方振動指数は-0.3。(貿易風の強さの目安。正の値は貿易風が強いことを示す。)

◆太平洋の赤道に沿った表層(海面から深度数百mまでの領域)水温は、 西経145度から西経115度にかけての深度30mから深度100mにかけて平年より1℃以上高かった。 一方、西経145度以西の深度100mから150mを中心とする領域および西経95度以東の深度30m付近では −1℃以下の負偏差が見られた。 太平洋の赤道に沿った海面から深度260mまでの平均水温平年偏差の経度−時間断面図では、 2月後半に西経160度付近に現れた+0.5℃以上の正偏差域が3月半ばに西経120度付近まで東進し、 その後3月末には+0.5℃以上の正偏差域は見られなくなった。 一方、3月初めに東経165度以西に分布していた−0.5℃以下の負偏差域は、3月末には東経160度付近のみに見られた。


今後の見通し(2003年4月〜2003年10月)

3月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は+0.1℃となり、2002年4月以来11か月ぶりに+0.5℃を下回った。 太平洋赤道域の海面水温は、中部では正偏差域が縮小するとともに、東部では負偏差域が拡がってきた。 太平洋赤道域東部の海洋表層においても、1月以降正偏差が急速に小さくなり平年の状態に近づいた。 南方振動指数は−0.3となり、貿易風の強さも次第に平年の状態に戻りつつあると判断される。 このように、太平洋赤道域の大気・海洋の状態はエルニーニョ現象の衰退を示しており、 過去のエルニーニョ現象と比較しても、その衰退は明瞭である。

エルニーニョ予測モデルは、監視海域の海面水温の基準値との差が今後夏にかけて増大し、 予測期間中、基準値より0.5℃から1℃前後高い値で推移すると予測している。 しかし、予測モデルは海面水温をここ数か月実際より高めに予測する傾向があり、 このことを考慮する必要がある。

太平洋赤道域の海洋表層では、監視海域の海面水温の基準値との差を今後急激に変化させる要因となる 正偏差域や負偏差域の東方への拡大は、今のところ顕著ではない。

以上のことから、今回のエルニーニョ現象はほぼ終息したと考えられ、 予測期間中、監視海域の海面水温はおおむね基準値に近い値で推移すると見られる。





2003年3月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い



エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差(1978年1月〜2003年3月)
緑線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。


2002年 2003年
エルニーニョ監視指数 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
基準値との差(℃) +0.4 +0.6 +0.9 +0.7 +0.7 +0.9 +1.1 +1.5 +1.4 +0.8 +0.6 +0.1
5か月移動平均(℃) +0.2 +0.6 +0.7 +0.8 +0.9 +1.0 +1.1 +1.2 +1.1 +0.9

南方振動指数 -0.1 -1.3 -0.4 -0.7 -1.2 -0.5 -0.5 -0.4 -1.0 -0.1 -0.5 -0.3

2月
4月

資料提供:気象庁
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