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2003年4月

2003年4月の状況

◆エルニーニョ監視海域の4月の海面水温の基準値(1961〜1990年の平均値)との差は+0.0℃

◆4月の太平洋赤道域の海面水温は、東経140度付近および東経150度から西経170度にかけて平年より0.5℃以上高かった。 一方、西経120度から西経110度および西経100度から西経85度にかけては平年より0.5℃以上低かった。

◆南方振動指数は-0.1。(貿易風の強さの目安。正の値は貿易風が強いことを示す。)

◆太平洋の赤道に沿った表層(海面から深度数百mまでの領域)水温は、 東経145 度から西経175度にかけての深度70m 以浅で平年より0.5℃以上高かった。 一方、東経145 度から西経110 度にかけての深度125m 付近および西経100 度以東の深度30m 付近では 平年より1℃以上低かった(図3 )。 太平洋の赤道に沿った海面から深度260mまでの平均水温平年偏差の経度一時間断面図では、 −0.5℃以下の負偏差域が西経120度から西経85度付近に見られたほかは、4月を通じてほぼ平年並であった。


今後の見通し(2003年5月〜2003年11月)

太平洋赤道域の海面水温は、中部で正偏差、東部で負偏差が見られるものの、1℃を超える偏差は殆ど消滅した。 海洋表層の水温も、中部と東部で正偏差が一段と弱まった。 南方振動指数は−0.1と3月よりも0に近づき、貿易風の強さは平年の状態に戻りつつある。 太平洋赤道域の対流活動についても、エルニーニョ現象最盛期であった昨年末には活発域が通常より東の日付変更線付近で見られたが、 4月にはそのような分布は見られなくなった。 このように、現在の太平洋赤道域の大気・海洋は、ほぼ平年に近い状態にある。

太平洋赤道域の海洋表層の水温の変化は現在のところ緩やかで、 監視海域の海面水温の基準値との差を今後急激に変化させる要因となる顕著な正偏差域や負偏差域の東進は見られない。

エルニーニョ予測モデルは、監視海域の海面水温の基準値との差が夏にかけて増大し、 予測期間中、0.5℃から1℃前後基準値より高い値で推移すると予測している。 しかし、予測モデルは海面水温をここ数か月実際より高めに予測する傾向があり、このことを考慮する必要がある。

以上のことから、監視海域の海面水温は予測期間中、基準値に近い値で推移するとみられる。





2003年4月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い



エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差(1979年1月〜2003年4月)
緑線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。


2002年 2003年
エルニーニョ監視指数 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月
基準値との差(℃) +0.6 +0.9 +0.7 +0.7 +0.9 +1.1 +1.5 +1.4 +0.8 +0.6 +0.1 +0.0
5か月移動平均(℃) +0.6 +0.7 +0.8 +0.9 +1.0 +1.1 +1.2 +1.1 +0.9 +0.6

南方振動指数 -1.3 -0.4 -0.7 -1.2 -0.5 -0.5 -0.4 -1.0 -0.1 -0.5 -0.3 -0.1

3月
5月

資料提供:気象庁
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