●太平洋赤道域の海面水温は、ほぼ全域で正偏差が見られたが、海洋表層(海面から深度数百mまでの領域)では負偏差が、大気下層では日付変更線付近を中心に東風偏差が卓越していた。
●エルニーニョ監視海域の海面水温は、秋にかけて基準値(1961〜1990 年の30 年平均値)に近づき、その後はほぼ基準値に近い値で推移するとみられる。予測期間中にエルニーニョ現象が発生する可能性は低い。
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2005年7月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤：28℃以上 (下)青：平年より低い
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| 2005年7月の状況 |
◆エルニーニョ監視海域(北緯4度〜南緯4度、西経150度〜西経90度)の7月の海面水温の基準値(1961〜1990年の30年平均値)との差は+0.6℃だった。
◆南方振動指数は＋0.1（速報値）。（貿易風の強さの目安。正の値は貿易風が強いことを示す。）
◆7 月の太平洋赤道域の海面水温は、南米沿岸で平年より0.5℃以上低かったことを除き、ほぼ 全域で正偏差であった。
とくに東経155 度から日付変更線にかけてと西経160 度付近、及び西経 130 度から西経115 度にかけて平年より0.5℃以上高かった。
◆太平洋の赤道に沿った海面水温平年偏差の経度-時間断面図によると、東経160 度から日付変更線にかけて+0.5℃以上の正偏差が継続して見られた。
一方、西経160 度付近の+0.5℃以上の正偏差は7月末には消滅した。
西経130 度から西経110 度では、+0.5℃以上の正偏差が6 月 半ば以降見られたが、7月には縮小し、7月末には西経120 度から西経110 度に限られた。
◆太平洋の赤道に沿った海面から深度260m までの平均水温平年偏差の経度−時間断面図によ ると、7月初めに西経130 度付近に現れた-0.5℃以下の負偏差は、7月末には西経155 度から 西経 100 度まで広がった。
一方、+0.5℃以上の正偏差は7 月を通じて東経160 度以西に限られた。
◆7 月の太平洋赤道域の対流活動は、東経150 度付近を中心に平年より活発だった。
◆7 月の中部太平洋の赤道東西風指数は、大気の上層で西風偏差、下層で東風偏差を示していた。
◆7 月の大気下層では、月の前半に西経120 度付近で、下旬には東経120 度付近でそれぞれ西風 偏差が見られたことを除き、日付変更線付近を中心に東風偏差が卓越した。
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| 今後の見通し（2005年8月〜2006年2月） |
7 月の太平洋赤道域の海面水温は、ほぼ全域で平年より高く、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は+0.6℃となった。
しかし、東部赤道域の水温正偏差は海面付近に 限られており、海洋表層ではむしろ負偏差が卓越していた。また、対流活動が東経150 度付 近で平年より活発だったことに対応して、日付変更線付近の大気下層では貿易風が平年より強かった。
このように、現在までの太平洋赤道域の大気および海洋表層の状況からは、東部の海面水温正偏差 をさらに強める要因は見られない。
エルニーニョ予測モデルは、監視海域の海面水温が秋にかけて基準値に近づき、その後はほぼ基準 値に近い値で推移すると予測している。
以上のことから、監視海域の海面水温は、秋にかけて基準値に近づき、その後はほぼ基準値に近い値で推移するとみられ、予測期間中にエルニーニョ現象が発生する可能性は低いと判断される。
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エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差(上)と南方振動指数(下・！印は速報値)
(1995年1月〜2005年7月）
太線は5か月移動平均値
赤：エルニーニョ現象 青：ラニーニャ現象 発生期間
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気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。 |
6月
8月