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2006年3月

● 太平洋赤道域の海面水温は、中部から東部にかけて平年より低かった。海洋表層 海面から深度数百m までの領域)の水温は、東部で負偏差、西部で正偏差が明瞭だった。太平洋赤道域の 西部で対流活動が活発で、中部および西部の大気下層では東風偏差が持続した。この状態は、ラニーニャ現象時の特徴を呈している。

●エルニーニョ監視海域の海面水温は春後半から夏にかけて基準値に近づき、その後基準値に近い値で推移すると予測される。現在のラニーニャ現象は予測期間中に終息する可能性が高い。




2006年3月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い

2006年3月の状況

◆エルニーニョ監視海域(北緯5度〜南緯5度、西経150度〜西経90度)の3月の海面水温の基準値(前年までの30年間の平均値)との差は−0.8℃だった。

◆南方振動指数は+1.3だった。(貿易風の強さの目安。正の値は貿易風が強いことを示す。)

◆3月の太平洋赤道域の海面水温は、東経170度から西経90度にかけて平年より0.5℃以上低く、 西経150度から西経110度にかけて以下の負偏差が見られた。一方、東経140度から 東経150度では平年より0.5℃以上高かった。

◆太平洋の赤道に沿った海面水温平年偏差の経度-時間断面図によると、2月末に東経165度から西経110度にかけて見られた-0.5℃以下の負偏差は、3月下旬には西経160度から西経90度にかけて見られた。また、3月中旬から下旬にかけては、西経120度付近で-1.5℃以下の負偏差が見られた。一方、3月上旬および下旬には、東経160度以西で+0.5℃以上の正偏差が見ら れた。

◆3月の太平洋の赤道に沿った表層(海面から深度数百m までの領域)水温は、東経170 度以東、深度140m 以浅の広い範囲で平年より1℃以上低く、西経130 度から西経80 度にかけての深度10m から110m では−2℃以下の負偏差が見られた。一方、西経170 度以西の深度40m から260m では平年より1℃以上高く、東経170度以西の深度60mから210mでは+2℃以上の正偏差が見られた。

◆太平洋の赤道に沿った海面から深度260mまでの平均水温平年偏差の経度−時間断面図によると、1月から3月にかけて東経170度以西で+1℃以上の正偏差が継続して見られた。また、2月に日付変更線以西に見られた+0.5℃以上の正偏差域は、3月下旬には西経170度以西で見られた。一方、2月末に西経140度から西経90度にかけて見られた-1℃以下の負偏差は、3月末には西経120度から南米沿岸にかけて見られた。

◆3月の中部太平洋の赤道東西風指数は、大気の上層で西風偏差、下層で東風偏差を示していた 。

◆3月の大気下層では、東経140度付近の対流活動が平年より活発だったことに対応して、西経120度以西の中部および西部で東風偏差が持続した。日付変更線付近では、3月上旬と下旬に東風偏差が顕著だった。


今後の見通し(2006年4月〜2006年10月)

3月の太平洋赤道域の海面水温は、引き続き中部から東部にかけて平年より低い状態が持続した。3月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は-0.8℃だった。海面水温の基準値との差の5か月移動平均値は、2005年10月から2006年1月にかけて-0.5℃以下だった。

海洋表層の水温は、東部で負偏差、西部で正偏差が持続し、1月以降続いている東西のコントラ ストが明瞭だった。太平洋赤道域の西部で対流活動は平年より活発であり、中部および西部の大気下層では、東風偏差が持続した。

現在の太平洋赤道域の大気と海洋の状況は、引き続きラニーニャ現象時の特徴を呈している。海洋表層では、東部の負偏差域が東に移動したことに伴い、西部に蓄積された暖水の一部が東方へ 移動する兆候も見られるが、3月下旬に日付変更線付近での東風偏差が顕著であったことから、現時点で東部の海面水温偏差を今後大きく正に転じさせるとは考えられない。

エルニーニョ予測モデルは、監視海域の海面水温が、春から夏にかけて基準値に近づき、秋は基準値よりやや高い値で推移すると予測している。

以上のことから、エルニーニョ監視海域の海面水温は春後半から夏にかけて基準値に近づき、その 後基準値に近い値で推移すると予測される。現在のラニーニャ現象は予測期間中に終息する可能性が高い。



エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度



エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差(上)と南方振動指数(下・!印は速報値)
(1996年1月〜2006年3月)

太線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。


2005年 2006
エルニーニョ監視指数 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
基準値との差(℃) +0.2 +0.4 +0.2 +0.4 +0.3 -0.2 -0.4 -0.9 -1.2 -0.9 -0.4 -0.8
5か月移動平均(℃) +0.1 +0.2 +0.3 +0.2 +0.1 -0.2 -0.5 -0.7 -0.8 -0.8
南方振動指数 -0.5 -1.2 +0.4 +0.1 -0.6 +0.3 +1.2 -0.3 +0.2 +1.2 +0.1 !+1.3

【 海面水温データと基準値の変更について 】
2006年3月より新しい海面水温データへの変更に伴い、エルニーニョ監視海域が北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度になりました。
また、海面水温の基準値はその年の前年までの30年間の各月の平均値に変更されました。
▲詳しくは気象庁発表資料をご参照下さい。

2月
4月

資料提供:気象庁
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