●太平洋赤道域の海面水温は、ほぼ全域で平年より高く、日付変更線付近および東部で正偏差が顕著だった。海洋表層(海面から深度数百 までの領域)の水温は、中部と東部で顕著な正偏差が見られた。太平洋赤道域中部の東西風は上層で東風偏差、下層で西風偏差だった。
●エルニーニョ監視海域の海面水温は、冬の間は基準値よりやや高い値で推移し、春には基準値に近づくと予測される。現在の太平洋赤道域の中部から東部にかけて海面水温が平年より高い状態は冬の間持続し、エルニーニョ現象となる可能性が高い。
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2006年10月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上 (下)青:平年より低い
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2006年10月の状況 |
◆エルニーニョ監視海域(北緯5度〜南緯5度、西経150度〜西経90度)の10月の海面水温の基準値(前年までの30年間の平均値)との差は+0.9℃だった。
◆南方振動指数は-1.2だった。(貿易風の強さの目安。正の値は貿易風が強いことを示す。)
◆10月の太平洋赤道域の海面水温は、東経165度から南米沿岸にかけて平年より+0.5℃以上高かった。東経170度から西経165度にかけてと西経120度から南米沿岸にかけては平年より1℃以上高い正偏差が見られた。
◆太平洋の赤道に沿った海面水温平年偏差の経度−時間断面図によると、8月下旬以降、東経170度付近から南米沿岸にかけて+0.5℃以上の正偏差だった。8月上旬に日付変更線付近に現れた+1℃以上の正偏差は10月下旬には東経170度から西経155度にかけて見られた。9月上旬に西経120度から南米沿岸にかけて現れた+1℃以上の正偏差は10月下旬まで持続した。
◆10月の太平洋の赤道に沿った表層(海面から深度数百mまでの領域)水温は、東経160度から西経140度にかけての深度200m以浅と西経125度以東の深度60m以浅で+1℃以上の正偏差が見られた。日付変更線の深度120m付近と西経110度以西の深度40m付近には+2℃以上の正偏差が見られた。一方、西経125度の深度130m付近には-1℃以下の負偏差が見られた。
◆太平洋の赤道に沿った海面から深度260mまでの平均水温平年偏差の経度−時間断面図によると、9月末に西経100度付近に見られた+1℃以上の正偏差は10月中旬に南米沖に到達した。一方、10月上旬に東経175度付近に現れた+1℃以上の正偏差は、10月下旬には東経175度から西経140度にかけて見られた
◆10月の中部太平洋の赤道東西風指数は、大気の上層で東風偏差、下層では西風偏差を示し、日付変更線付近のOLR指数は正偏差を示していた。
◆9月中旬から10月上旬にかけて、太平洋赤道域の大気下層の西部で西風偏差、中部と東部で東風偏差が見られた。赤道季節内振動の対流活発な位相が太平洋を通過したことに伴なって、10月中旬には太平洋赤道域のほぼ全域で西風偏差となった。10月下旬には、西部と中部では西風偏差が持続したが、東部では東風偏差が見られた。
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今後の見通し(2006年10月〜2007年4月) |
10月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は+0.9℃、南方振動指数は-1.2だった。
10月の太平洋赤道域の海面水温は、ほぼ全域で平年より高く、日付変更線付近および東部では平年より 1℃以上高い正偏差が見られた。
海洋表層の水温では、中部と東部に顕著な正偏差が見られた。10月の太平洋赤道域中部の東西風は上層で東風偏差、下層で西風偏差だった。日付変更線付近の対流活動は、9月から10月にかけて平年より活発だった。
これらの海洋と大気の状況はエルニーニョ現象時の特徴を呈している。
9月以降、西経120度以東および日付変更線付近で概ね+1℃以上の正偏差が持続している。東部では10月下旬以降東風偏差となり、これは海面水温正偏差を減少させる要因となるが、10月上旬に日付変更線付近に現れた海洋表層の暖水が今後東進し、東部の海面水温正偏差を維持あるいは上昇させると考えられる。一方、西部では、9月下旬以降西風偏差が持続しており、日付変更線付近の海面水温正偏差を維持させると考えられる。
エルニーニョ予測モデルは、監視海域の海面水温が、冬の間は基準値より1℃程度高い値で推移し、
春には基準値に近づくと予測している。
以上のことから、エルニーニョ監視海域の海面水温は、冬の間は基準値よりやや高い値で推移し、
春には基準値に近づくと予測される。現在の太平洋赤道域の中部から東部にかけて海面水温が平年よ
り高い状態は冬の間持続し、エルニーニョ現象となる可能性が高い。
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エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度
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エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差(上)と南方振動指数(下・!印は速報値) (1996年1月〜2006年10月)
太線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間
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気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。 |