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2007年2月

●太平洋赤道域の海面水温は、西部で正偏差が顕著だったが、中部から東部にかけての正偏差は1月から2月にかけて急速に弱まり、一部に負偏差も見られた。海洋表層(海面から深度数百mまでの領域)の水温では、中部から東部にかけて顕著な負偏差が見られた。今回のエルニーニョ現象は終息したと見られる

●エルニーニョ監視海域の海面水温は予測期間中、基準値に近いか、基準値よりやや低い値で推移すると予測され、今後、ラニーニャ現象に向かうと考えられる




2007年2月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い

2007年2月の状況

◆エルニーニョ監視海域(北緯5度〜南緯5度、西経150度〜西経90度)の2月の海面水温の基準値(前年までの30年間の平均値)との差は0.0℃だった。

◆南方振動指数は-0.1だった。(貿易風の強さの目安。正の値は貿易風が強いことを示す。)

◆2月の太平洋赤道域の海面水温は、東経160度から日付変更線にかけて平年より0.5℃以上高かった。一方、西経130度付近で-0.5℃以下の負偏差が見られた。

◆太平洋の赤道に沿った海面水温平年偏差の経度−時間断面図によると、1月末に西経120度から西経90度にかけて見られた+1℃以上の正偏差は、2月中旬には消失した。東経160度から日付変更線にかけて+0.5℃以上の正偏差が2月中持続した。一方、西経130度付近には2月上旬に負偏差が現われ、2月下旬には西経160度から南米沿岸まで広がった。2月中旬以降、西経120度付近には-1℃以下の負偏差が見られた。

◆2月の太平洋の赤道に沿った表層(海面から深度数百mまでの領域)水温は、西経150度から西経80度にかけての深度10mから170mで1℃以上平年より低かった。西経140度から西経100、、 月、 月 月末に西度にかけての深度40mから130mでは-3℃以下の負偏差が見られた。

◆太平洋の赤道に沿った海面から深度260mまでの平均水温平年偏差の経度−時間断面図によると、1月末に西経150度から西経110度にかけて見られた-1℃以下の負偏差域は東進し、2月下旬には西経130度から西経100度にかけて見られた。一方、1月下旬に日付変更線付近で見られた+0.5℃以上の正偏差は2月上旬に消失した。

◆2月の太平洋赤道域の対流活動は、東経160度付近で平年より活発だった。

◆2月の日付変更線付近のOLR指数は平年並を示し、中部太平洋の赤道東西風指数は、大気の上層では平年並、下層では東風偏差を示していた。

◆1月下旬に西部太平洋赤道域の大気下層に見られた西風偏差は2月上旬には弱まった。2月中旬にはインド洋西部に赤道季節内振動の対流活発な位相が現われ、下旬には太平洋西部まで東進した。これに伴い、2月下旬に日付変更線付近の大気下層で東風偏差が強まった。


今後の見通し(2007年3月〜2007年9月)

2月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は0.0℃で、2006年12月の5か月移動平均値は+0.8℃だった。
2月の太平洋赤道域の海面水温は、西部で平年より高かった。中部から東部にかけての正偏差は1月から2月にかけて急速に弱まり、一部で負偏差も見られた。
海洋表層の水温では、中部から東部にかけて顕著な負偏差が見られた。2月の中部太平洋赤道域の東西風は上層で平年並、下層で東風偏差だった。2月の日付変更線付近の対流活動は平年並だった。海洋と大気のこれらの特徴は、今回のエルニーニョ現象が終息したことを示している。

1月下旬に日付変更線付近に見られた+0.5℃以上の表層水温の正偏差は2月上旬には消失した。一方、1月上旬に日付変更線付近に現われた表層水温の負偏差は強まりながら東進した。これに伴い、中部から東部にかけての海面水温の正偏差は急速に弱まり、2月中旬には-1℃以下の負偏差も現われた。2月下旬には日付変更線付近の大気下層では東風偏差が強まったことから、中部から東部にかけて海面水温偏差がさらに低下することが考えられる。

エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、春は基準値に近い値で、夏以降は基準値よりやや低い値で推移すると予測している。

以上のことから、エルニーニョ監視海域の海面水温は予測期間中、基準値に近いか、基準値よりやや低い値で推移すると予測され、今後、ラニーニャ現象に向かうと考えられる



エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度



エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差(上)と南方振動指数(下・!印は速報値)
(1997年1月〜2007年2月)

太線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。


2006年 2007年
エルニーニョ監視指数 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月
基準値との差(℃) -0.8 -0.2 0.0 0.0 0.1 +0.4 +0.8 +0.9 +1.0 +1.1 +0.8 0.0
5か月移動平均(℃) -0.5 -0.3 -0.2 +0.1 +0.3 +0.4 +0.6 +0.8 +0.9 +0.8
南方振動指数 +1.3 +1.0 -0.8 -0.4 -0.8 -1.3 -0.5 -1.2 +0.1 -0.1 -0.6 !-0.1

【 海面水温データと基準値の変更について 】
2006年3月より新しい海面水温データへの変更に伴い、エルニーニョ監視海域が北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度になりました。
また、海面水温の基準値はその年の前年までの30年間の各月の平均値に変更されました。
▲詳しくは気象庁発表資料をご参照下さい。

1月
3月

資料提供:気象庁
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