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2007年1月

●太平洋赤道域の海面水温は、全域で平年より高く、日付変更線付近と東部で正偏差が顕著だったが、中部では正偏差が弱まった。海洋表層(海面から深度数百mまでの領域)の水温は、中部から東部にかけて顕著な負偏差が見られ、エルニーニョ現象の衰退期に現れる特徴を呈していた。

●エルニーニョ監視海域の海面水温は、今後基準値に近づき、春から夏にかけて基準値に近い値で推移すると予測される。現在のエルニーニョ現象は、春には終息する見込みである




2007年1月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い

2007年1月の状況

◆エルニーニョ監視海域(北緯5度〜南緯5度、西経150度〜西経90度)の1月の海面水温の基準値(前年までの30年間の平均値)との差は+0.8℃だった。

◆南方振動指数は-0.6だった。(貿易風の強さの目安。正の値は貿易風が強いことを示す。)

◆1月の太平洋赤道域の海面水温は全域で平年より高く、東経170度から日付変更線にかけてと西経120度から西経95度にかけて平年より1℃以上高かった

◆太平洋の赤道に沿った海面水温平年偏差の経度−時間断面図によると、2006年11月以降、東経170度から南米沿岸にかけて見られた+1.0℃以上の正偏差は、1月上旬から中旬にかけて西経120度以西では消失した。1月上旬には東経160度から南米沿岸にかけて+0.5℃以上の正偏差が見られたが、1月下旬には西経170度から西経120度では消失し、西経150度付近には負偏差が見られた。

◆1月の太平洋の赤道に沿った表層(海面から深度数百mまでの領域)水温は、東経150度から西経110度にかけての深度70mから210mで-1℃以下の負偏差が見られた。西経155度から西経125度にかけての深度110mから170mでは-3℃以下の負偏差が見られた。一方、西経120度以東の60m以浅および西経90度以東の深度80mから250mでは+1℃以上の正偏差が見られた。

◆太平洋の赤道に沿った海面から深度260mまでの平均水温平年偏差の経度−時間断面図によると、2006年12月に東部から中部にかけて見られた+1℃以上の正偏差域は東進し、2007年1月中旬には消失した。一方、1月上旬に日付変更線付近に現れた-1℃以下の負偏差は東進し、1月下旬には西経150度から西経115度にかけて見られ、西経130度付近には-2℃以下の負偏差が見られた。1月下旬に日付変更線付近では+0.5℃以上の正偏差が見られた。

◆1月の太平洋赤道域の対流活動は、ニューギニア島の東から日付変更線付近にかけて活発だった。

◆1月の日付変更線付近のOLR指数は正偏差を示し、中部太平洋の赤道東西風指数は、大気の上層では平年並、下層では東風偏差を示していた。

◆2006年12月中旬にインド洋西部で見られた赤道季節内振動の対流活発な位相は東進し、2007年1月中旬には日付変更線付近に到達した後、1月下旬も日付変更線付近に留まった。これに伴い、太平洋赤道域の大気下層では、12月下旬から1月上旬にかけて日付変更線付近で東風偏差が、1月中旬には日付変更線付近で西風偏差が見られた。また、西経150度付近では月を通じて東風偏差が見られた。


今後の見通し(2007年2月〜2007年8月)

1月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は+0.8℃で、2006年11月の5か月移動平均値は+0.9℃だった。
1月の太平洋赤道域の海面水温は、全域で平年より高く、日付変更線付近と東部で平年より1℃以上高い正偏差が見られたが、中部の正偏差は2006年12月に比べて弱まった。
海洋表層の水温では、中部から東部にかけて顕著な負偏差が見られ、エルニーニョ現象の衰退期に現れる特徴を呈していた。1月の中部太平洋赤道域の東西風は上層で平年並、下層で東風偏差だった。1月の日付変更線付近の対流活動は平年より活発だった。
一方、インドネシア付近では10月以降対流活動が不活発な状態が続いていたが、12月下旬には赤道季節内振動の対流活発な位相がインド洋からインドネシア付近に東進した。これに伴って12月下旬に西部の大気下層で東風偏差が見られた。

2006年12月に中部から東部にかけて見られた+1℃以上の表層水温の正偏差は2007年1月中旬には消失した。一方、1月上旬に日付変更線付近に現れた表層水温の負偏差は強まりながら中部から東部にかけて進んでいる。これに伴い、中部での海面水温の正偏差は急速に弱まった。1月下旬には日付変更線付近に表層水温の正偏差が見られるが、中部の大気下層では東風偏差が持続していることから、東部の表層水温の負偏差は持続し、今後1〜2か月で東部の海面水温正偏差が弱まっていくと考えられる。

エルニーニョ予測モデルは、監視海域の海面水温が、今後基準値に近づき、春から夏にかけて基準値に近い値で推移すると予測している。

以上のことから、エルニーニョ監視海域の海面水温は、今後基準値に近づき、春から夏にかけて基準値に近い値で推移すると予測される。現在のエルニーニョ現象は、春には終息する見込みである



エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度



エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差(上)と南方振動指数(下・!印は速報値)
(1997年1月〜2007年1月)

太線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。


2006年 2007年
エルニーニョ監視指数 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月
基準値との差(℃) -0.4 -0.8 -0.2 0.0 0.0 +0.1 +0.4 +0.8 +0.9 +1.0 +1.1 +0.8
5か月移動平均(℃) -0.7 -0.5 -0.3 -0.2 +0.1 +0.3 +0.4 +0.6 +0.8 +0.9
南方振動指数 +0.1 +1.3 +1.0 -0.8 -0.4 -0.8 -1.3 -0.5 -1.2 +0.1 -0.1 !-0.6

【 海面水温データと基準値の変更について 】
2006年3月より新しい海面水温データへの変更に伴い、エルニーニョ監視海域が北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度になりました。
また、海面水温の基準値はその年の前年までの30年間の各月の平均値に変更されました。
▲詳しくは気象庁発表資料をご参照下さい。

12月
2月

資料提供:気象庁>
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