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2007年9月

●太平洋赤道域の海面水温は、中部から東部にかけて顕著な負偏差、西部で顕著な正偏差だった。海洋表層(海面から深度数百mまでの領域)の水温では、中部から東部にかけて顕著な負偏差が見られた。中部太平洋赤道域の東西風は、上層で西風偏差、下層で東風偏差が顕著だった。これらの状態はラニーニャ現象時の特徴を示しており、8月に比べて明瞭になった

●エルニーニョ監視海域の海面水温は、予測期間中、基準値より低い値で推移すると予測される。
ラニーニャ現象は2008年の春まで続く可能性が高い




2007年9月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い

2007年9月の状況

◆エルニーニョ監視海域(北緯5度〜南緯5度、西経150度〜西経90度)の9月の海面水温の基準値(前年までの30年間の平均値)との差は-1.3℃だった。

◆南方振動指数は+0.1だった。(貿易風の強さの目安。正の値は貿易風が強いことを示す。)

◆9月の太平洋赤道域の海面水温は、東経175度から西経90度にかけて平年より0.5℃以上低く、西経160度から西経95度では平年より1℃以上低かった。一方、東経140度から東経160度にかけて+0.5℃以上の正偏差が見られた。

◆太平洋の赤道に沿った海面水温平年偏差の経度-時間断面図によると、8月末に西経155度から西経90度にかけて見られた-0.5℃以下の負偏差は、9月下旬には東経170度から西経90度に拡がった。また、9月下旬には西経125度から西経100度にかけて-2℃以下の負偏差が見られた。一方、8月末に東経170度以西に見られた+0.5℃以上の正偏差は、9月下旬には東経160度以西に見られた。

◆インド 洋赤道域の海面水温は、東経55度以西と東経65度から東経80度にかけて平年より0.5℃以上高かった。

◆9月の太平洋の赤道に沿った表層(海面から深度数百mまでの領域)水温は、東経175度から西経80度にかけての海面から深度200mで平年より1℃以上低かった。西経125度の深度100m付近には-4℃以下の負偏差が見られた。一方、東経140度から東経165度にかけての深度40mから180mでは+1℃以上の正偏差が見られた。

◆太平洋の赤道に沿った海面から深度260mまでの平均水温平年偏差の経度-時間断面図によると、8月末に西経150度から西経100度にかけて見られた-1℃以下の負偏差は、9月下旬には西経170度から西経100度にかけて見られ、西経130度付近では-2℃以下の負偏差が見られた。一方、東経165度以西では9月を通じて+0.5℃以上の正偏差が見られ、9月下旬には東経160度以西で+1℃以上の正偏差が見られた。

◆9月の太平洋赤道域の対流活動は、東経125度から東経150度にかけて活発、日付変更線付近で不活発だった。

◆9月の日付変更線付近のOLR指数は対流不活発を示し、中部太平洋の赤道東西風指数は、大気の上層で顕著な西風偏差、下層で顕著な東風偏差を示していた。

◆赤道季節内振動の対流活動の活発な位相は、9月上旬にはインド洋で見られ、9月中旬から下旬にかけては西部太平洋赤道域で見られた。中部太平洋赤道域の大気下層では、9月を通じて顕著な東風偏差が見られた。


今後の見通し(2007年10月〜2008年4月)

9月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は-1.3℃だった。7月の5か月移動平均値は-0.9℃だった。
9月の太平洋赤道域の海面水温は、中部から東部にかけて顕著な負偏差、西部で顕著な正偏差だった。
海洋表層の水温では、中部から東部にかけて顕著な負偏差、西部で顕著な正偏差が見られた。
9月の太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は不活発、中部太平洋赤道域の東西風は上層で西風偏差、下層で東風偏差が顕著だった。
これらの状態は、ラニーニャ現象時の特徴を示しており、8月に比べて明瞭になった

このような状態では、海洋と大気が相互に影響し合い、東部の海面水温の負偏差を維持する傾向がある。

エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、予測期間中、基準値より低い値で推移すると予測している。

以上のことから、エルニーニョ監視海域の海面水温は、予測期間中、基準値より低い値で推移すると予測される。ラニーニャ現象は春まで続く可能性が高い。



エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度



エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差(上)と南方振動指数(下・!印は速報値)
(1997年1月〜2007年9月)

太線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。


2006年 2007年
エルニーニョ監視指数 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
基準値との差(℃) +0.9 +1.0 +1.1 +0.8 0.0 -0.5 -0.5 -0.7 -0.6 -0.8 -1.1 -1.3
5か月移動平均(℃) +0.8 +0.9 +0.8 +0.5 +0.2 -0.2 -0.5 -0.6 -0.7 -0.9
南方振動指数 -1.2 +0.1 -0.1 -0.6 -0.1 +0.1 +0.1 -0.2 +0.5 -0.5 +0.4 +0.1


8月
10月

資料提供:気象庁
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