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2008年10月

●エルニーニョ監視海域の海面水温は基準値に近い値だった。太平洋赤道域の海面水温は、西部 で正偏差、中部で負偏差だった。海洋表層(海面から深度数百mまでの領域)の水温は、中部か ら東部にかけて負偏差、西部で正偏差だった。

●エルニーニョ監視海域の海面水温は、今後基準値に近い値で推移すると予測される
今後冬にかけてエルニーニョ現象あるいはラニーニャ現象が発生する可能性は低い。




2008年10月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い

2008年10月の状況

◆エルニーニョ監視海域(北緯5度~南緯5度、西経150度~西経90度)の10月の海面水温の基準値(前年までの30年間の平均値)との差は-0.2℃だった。8月の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値は+0.2℃だった。

◆10月の南方振動指数は+1.6(速報値)だった。(貿易風の強さの目安。正の値は貿易風が強いことを示す。)

◆10月の太平洋赤道域の海面水温は、東経175度から西経170度および西経150度から西経125度にかけて平年より0.5℃以上低かった。一方、東経125度から東経155度にかけて+0.5℃以上の正偏差が見られた。

◆太平洋の赤道に沿った海面水温平年偏差の経度-時間断面図によると、9月末に東経175度から西経135度にかけて見られた-0.5℃以下の負偏差は、10月下旬には西経170度付近と西経135度付近に見られた。一方、9月末に西経110度から西経80度にかけて見られた+0.5℃以上の正偏差は、10月上旬に消失した。また、9月末に東経165度以西で見られた+0.5℃以上の正偏差は、10月下旬には東経145度以西で見られた。

◆インド洋赤道域の海面水温は、東経75度から東経95度にかけて平年より0.5℃以上高かった。

◆10月の太平洋の赤道に沿った表層(海面から深度数百mまでの領域)水温は、西経160度から西経80度にかけての海面から深度180mで平年より1℃以上低かった。一方、東経140度から西経175度にかけての深度70mから190mでは+1℃以上の正偏差が見られた。

◆太平洋の赤道に沿った海面から深度300mまでの平均水温平年偏差の経度-時間断面図によると、9月末に西経160度から西経120度にかけて見られた-1℃以下の負偏差は、10月下旬には西経140度から西経100度にかけて見られた。一方、9月末に東経155度付近で見られた+1℃以上の正偏差は、10月上旬に消失した。

◆10月の太平洋赤道域の対流活動は、東経160度から日付変更線にかけて平年より不活発、東経130度付近で平年より活発だった。

◆10月の日付変更線付近のOLR指数は対流不活発を示していた。中部太平洋の赤道東西風指数は、大気の上層および下層ともに平年並を示していた。

◆赤道季節内振動の対流活動の活発な位相は、10月上旬には太平洋の東部から大西洋にかけて見られ、中旬にはインド洋、下旬にはインドネシア付近で見られた。太平洋赤道域の大気下層では、10月中旬と下旬にインドネシアから太平洋の中部にかけて東風偏差が見られた。太平洋の東部で上旬に見られた西風偏差は下旬には弱まった。


今後の見通し(2008年11月〜2009年5月)

 10月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は-0.2℃で、8月の5か月移動平均値は+0.2℃だった。

 10月の太平洋赤道域の海面水温は、西部で正偏差、中部で負偏差だった。

 海洋表層の水温は、中部から東部にかけて負偏差で、西部では正偏差だった。

 太平洋赤道域では、日付変更線付近の対流活動は平年より不活発で、大気下層では東風偏差が見られた。

 エルニーニョ監視海域の海面水温は、9月以降基準値に近い値が続いている。中部太平洋赤道域の表層水温の負偏差の東進にともない、10月の東部太平洋赤道域の海面水温偏差はやや低下した。

 エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、一時的に基準値を0.5℃程度下回るものの、予測期間中は、概ね基準値に近い値で推移すると予測している。

 以上のことから、エルニーニョ監視海域の海面水温は、今後基準値に近い値で推移すると予測される。今後冬にかけてエルニーニョ現象あるいはラニーニャ現象が発生する可能性は低い。



エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度



エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差(上)と南方振動指数(下・!印は速報値)
(1998年1月〜2008年10月)

太線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。


2007年 2008年
エルニーニョ監視指数 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
基準値との差(℃) -1.6 -1.7 -1.5 -1.4 -0.6 -0.3 -0.1 0.0 +0.5 +0.6 +0.2 -0.2
5か月移動平均(℃) -1.5 -1.5 -1.4 -1.1 -0.8 -0.5 -0.1 +0.1 +0.2 +0.2
南方振動指数 +0.8 +1.6 +1.4 +1.8 +1.3 +0.6 -0.2 +0.5 +0.2 +1.0 +1.2 +1.6


9月
11月

資料提供:気象庁
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