2002年9月12日更新
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【2002年の夏(6〜8月)の特徴】 |
この夏の天候は、地域差が大きく、北日本では多雨・寡照で低温傾向となった一方で、西日本では高温・少雨・多照となった。 |
北日本
夏の前半は気温の変動が大きく、6月後半にはオホーツク海高気圧と寒気の影響で強い低温となった。
7〜8月は低気圧や前線の影響で、曇りや雨の日が多く、大雨となる日もあった。
東・西日本
7月に東日本が台風の影響で多雨となったものの、梅雨前線の影響は全体に少なく、特に西日本では少雨傾向となった。
7月下旬からは太平洋高気圧に覆われて、晴れて暑い日が多かった。
南西諸島
7月に台風が接近することが多く、多雨・寡照となったほか、季節を通して寡照傾向が続いた。 |
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平均気温 |
東日本、西日本では平年を1 ℃前後上回ったところが多かった。東北北部、北海道では平年を下回った。特に、北海道の一部では平年を1 ℃以上下回ったところがあった。
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降水量 |
北日本では平年を上回ったところが多かった。北海道のオホーツク海側、北海道の南部から東北北部にかけては平年の140%以上となったところがあった。盛岡(岩手県)では降水量の3 か月合計の最大値を更新した。一方、西日本では平年を下回り、平年の60%以下というところが多かった。
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日照時間 |
北日本や南西諸島では平年を下回り、一部では平年の80%以下というところがあった。青森(青森県)など3 地点で日照時間の3 か月合計の最小値を更新した。東日本、西日本では平年を上回り、関東、甲信の一部では平年の120%以上となったところがあった。
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日最高気温35℃・30℃以上、日最低気温25℃以上の日数 |
日最高気温35℃以上の日数、30℃以上の日数ともに平年を上回ったところが多かった。大阪では日最高気温30℃以上の3 か月間の合計日数が70日となって、過去最高だった1994年とタイ記録となった。日最低気温25℃以上の日数についても平年を上回るところが多く、浜松(静岡県)、三島(静岡県)、舞鶴(京都府)、彦根(滋賀県)、姫路(兵庫県)、延岡(宮崎県)で統計開始以来もっとも多い3か月間合計日数を観測し、熊谷(埼玉県)、高松(香川県)ではタイ記録となった。
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記録を更新した地点 |
月降水量の多い記録
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降水量 |
平年値 |
盛岡 |
805.0mm |
458.4mm |
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日照時間の少ない記録
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日照時間 |
平年値 |
青森 |
399.3h |
548.8h |
那覇 |
464.0h |
649.4h |
名護 |
510.8h |
615.5h |
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最高気温30℃以上日数
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日数 |
平年 |
大阪 |
70日 |
55.3日 |
最低気温25℃以上日数
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日数 |
平年 |
熊谷 |
15日 |
4.3日 |
浜松 |
31日 |
9.7日 |
三島 |
22日 |
7.5日 |
舞鶴 |
15日 |
3.8日 |
彦根 |
27日 |
6.9日 |
姫路 |
26日 |
7.6日 |
延岡 |
10日 |
2.6日 |
高松 |
38日 |
11.6日 |
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黄色:平年より高い(多い) 青:平年より低い(少ない)
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平均気温の平年差の経過(5日移動平均) |
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主な地点における日最高気温35℃・30℃以上、日最低気温25℃以上の日数 |
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日最低気温25℃以上の日数 |
日最高気温30℃以上の日数 |
日最高気温35℃以上の日数 |
地点 |
6月 |
7月 |
8月 |
計 |
平年 |
6月 |
7月 |
8月 |
計 |
平年 |
6月 |
7月 |
8月 |
計 |
平年 |
札幌 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0.1 |
0 |
1 |
1 |
2 |
7.5 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0.2 |
仙台 |
0 |
0 |
2 |
2 |
0.8 |
0 |
11 |
10 |
21 |
15.4 |
0 |
0 |
2 |
2 |
0.4 |
新潟 |
0 |
3 |
11 |
14 |
8.0 |
2 |
14 |
19 |
35 |
28.6 |
0 |
2 |
5 |
7 |
2.5 |
東京 |
0 |
15 |
14 |
29 |
20.7 |
4 |
24 |
25 |
53 |
38.4 |
0 |
0 |
6 |
6 |
1.7 |
名古屋 |
0 |
14 |
16 |
30 |
12.3 |
10 |
25 |
30 |
65 |
47.5 |
0 |
4 |
16 |
20 |
7.3 |
大阪 |
0 |
20 |
23 |
43 |
28.9 |
15 |
28 |
27 |
70 |
55.3 |
0 |
8 |
11 |
19 |
7.9 |
広島 |
0 |
13 |
16 |
29 |
15.7 |
6 |
26 |
30 |
62 |
42.0 |
0 |
4 |
4 |
8 |
2.6 |
高知 |
0 |
14 |
7 |
21 |
8.7 |
5 |
23 |
27 |
55 |
48.1 |
0 |
0 |
1 |
1 |
1.4 |
福岡 |
0 |
18 |
18 |
36 |
25.4 |
3 |
25 |
23 |
51 |
46.1 |
0 |
1 |
1 |
2 |
3.6 |
那覇 |
15 |
28 |
30 |
73 |
67.5 |
10 |
24 |
30 |
64 |
64.7 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0.0 |
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【大気の流れの特徴】 500hpa天気図
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亜熱帯高気圧は日本の南東海上で平年より強く、東日本は正偏差となった。
ヨーロッパから極東にかけての高緯度域では偏西風の蛇行が大きかった。
極東ではシベリア方面が尾根となって正偏差が強く、オホーツク海付近から中国北部は谷となったため、北日本や南西諸島付近は負偏差となった。
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*エルニーニョ現象との関連について
エルニーニョ現象が発生中の夏は、これまでの調査から、本州付近への太平洋高気圧の張り出しが弱く、東・西日本を中心に低温・多雨傾向の天候が比較的現れやすい。一方、今年の夏は、太平洋高気圧の日本付近への張り出しが比較的強かったこともあり、東・西日本の夏の平均気温は高く、夏の降水量も東日本で平年並、西日本では少なくなった。こうしたことから、この夏の日本の天候については、エルニーニョ現象の影響を受けている可能性は小さい。
(9月10日気象庁発表 報道参考資料より)
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2002年6〜8月の500hpa高度と偏差
等値線間隔は高度(実線):60m 偏差(破線):30m
赤:正偏差域 青:負偏差域
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