ラニーニャ現象はこの夏に発生するとみられ、秋以降も持続する可能性が高い。
インド洋熱帯域の海面水温は、夏には基準値より高い値で、秋には基準値に近い値で 推移すると予測される。

2010年6月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上 (下)青:平年より低い
6月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は-0.7℃だった。4月の5か月移動平均値は+0.3℃だった。6月の南方振動指数は+0.5だった。6月の太平洋赤道域の海面水温は、西部で正偏差、中部から東部にかけて顕著な負偏差が見られた。太平洋赤道域の海洋表層の水温では、中部から東部にかけて顕著な負偏差が見られた。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発で、西部では大気下層の東風偏差が卓越した。これらの状況はラニーニャ現象時の特徴を示している。
太平洋赤道域では、大気下層の東風偏差により中部から東部にかけて海洋表層の冷水偏差が強化さ れ、今後もこの冷水偏差が持続すると予測されることから、中部から東部にかけての海面水温負偏差 が持続すると考えられる。
エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、予測期間中、基準値より低い値 で推移すると予測している。
以上のことから、ラニーニャ現象はこの夏に発生するとみられ、秋以降も持続する可能性が高い。
西太平洋熱帯域の海面水温は、夏には基準値より高い値で推移し、秋には、次第に基準値に近づく と予測される。
インド洋熱帯域の海面水温は、冬から春にかけて基準値より高い値で推移した。夏には基準 値より高い値で、秋には基準値に近い値で推移すると予測される。
6月の日本の天候には、インド洋熱帯域の高温時の特徴は明瞭には見られなかった。今後の日本の 天候については、最新の季節予報を参照されたい。
6月の世界の天候では、インド洋熱帯域の高温時の特徴は明瞭には見られなかった。

エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度

各監視指数の最近10年間の経過
(2000年1月〜2010年6月)
折線は月平均値、滑らかな太線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間
気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。
2009年 | 2010年 | |||||||||||
エルニーニョ監視指数 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
基準値との差(℃) | +0.9 | +0.8 | +0.7 | +0.7 | +1.3 | +1.4 | +1.1 | +0.8 | +0.7 | +0.6 | 0.0 | -0.7 |
5か月移動平均(℃) | +0.7 | +0.8 | +0.9 | +1.0 | +1.0 | +1.1 | +1.1 | +0.9 | +0.6 | +0.3 | ||
南方振動指数 | +0.2 | -0.3 | +0.3 | -1.3 | -0.5 | -0.7 | -0.9 | -1.1 | -0.7 | +1.5 | +0.9 | +0.5 |