ラニーニャ現象は春に終息に向かうと考えられる。
2011年1月の海面水温(上)と平年偏差(下)
1月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は-1.4℃だった。11月の5か月移動平均 値は-1.5℃だった。1月の南方振動指数はだった。1月の太平洋赤道域の海面水温 は、インドネシア付近を除き、ほぼ全域で負偏差だった。太平洋赤道域の海洋表層の水 温は、西部で顕著な正偏差、中部から東部にかけて顕著な負偏差だった。太平洋赤道域 の対流活動は西部から日付変更線付近にかけて平年より不活発な状態が続いた。これら の状況はラニーニャ現象時の特徴を示している
太平洋赤道域では、大気下層の東風偏差が1月上旬まで続いていたが、中旬には弱まった。これに 対応して、太平洋赤道域西部の海洋表層の暖水が東に広がるのが見られ、今後さらに東進すれば東部 の海面水温負偏差を弱めることが考えられる
エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、春には基準値に近い値で、夏に は基準値より高い値で推移すると予測しているが、予測期間後半の不確実性は大きい。
以上のことから、ラニーニャ現象は春に終息に向かうと考えられる。
西太平洋熱帯域の海面水温は、ラニーニャ現象が終息に向かうのに伴って、次第に基準値に近づく と予測される。
インド洋熱帯域の海面水温は、12月から基準値より低い値で推移している。今後春にかけて 基準値より低い値で推移し、その後次第に基準値に近づくと予測される。
1月の日本の天候では、東日本、西日本、および沖縄・奄美の低温がラニーニャ現象時の傾向に一 致していた。今後の日本の天候については、最新の季節予報を参照されたい。
1月の世界の天候では、マレー半島付近の低温と、南アフリカ、オーストラリア西部、フィリピン 付近、および南米北部の多雨が、ラニーニャ現象時の特徴に一致していた。
エルニーニョ監視海域:北緯5度~南緯5度、西経150度~90度
各監視指数の最近10年間の経過
(2001年1月~2011年1月)
気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。
2010年 | 2011 | |||||||||||
エルニーニョ監視指数 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 |
基準値との差(℃) | +0.8 | +0.7 | +0.6 | 0.0 | -0.7 | -0.9 | -1.0 | -1.3 | -1.6 | -1.6 | -1.5 | -1.4 |
5か月移動平均(℃) | +0.9 | +0.6 | +0.3 | -0.1 | -0.4 | -0.8 | -1.1 | -1.3 | -1.4 | -1.4 | ||
南方振動指数 | -1.1 | -0.7 | +1.5 | +0.9 | +0.5 | +1.8 | +1.9 | +2.3 | +1.8 | +1.5 | +3.0 | +1.8 |