2011年2月

ラニーニャ現象は春に終息し、夏は平常の状態が続く可能性が高い


2011年2月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い
2011年2月の状況

2月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は-0.8℃だった。12月の5か月移動平均 値は-1.4℃で、6か月連続で-0.5℃以下だった。2月の南方振動指数は+1.9だった。 2月の太平洋赤道域の海面水温は、中部で顕著な負偏差、インドネシア付近と南米沿岸では正偏差だっ た。太平洋赤道域の海洋表層の水温は、西部で顕著な正偏差、東部で負偏差だった。太平洋赤道域の対流活動は日付変更線付近で平年より不活発だった。これら の状況はラニーニャ現象時の特徴を示している。

今後の見通し(2011年3月〜2011年9月)

2月の太平洋赤道域では、中部で大気下層の東風偏差が持続したが、西部の東西風偏差は弱く、東部では西風偏差が持続した。これに対応して、太平洋赤道域西部の海洋表層の暖水が下旬には西部から中部にかけて広がり、今後さらに東進すれば東部の海面水温負偏差を弱めることが考えられる。

エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、春には基準値に近い値で、夏には基準値に近いかまたは高い値で推移すると予測しているが、予測期間後半の不確実性は大きい。

以上のことから、ラニーニャ現象は春に終息し、不確実性が大きいものの、夏は平常の状態が続く可能性が高い。

西太平洋熱帯域の海面水温は、今後高い値から次第に基準値に近づくと予測される

インド洋熱帯域の海面水温は、12月から基準値より低い値で推移している。今後春から夏にかけて次第に基準値に近づくと予測される

2月の日本の天候では、ラニーニャ現象時の特徴は明瞭には見られなかった。今後の日本の天候については、最新の季節予報を参照されたい。

2月の世界の天候では、南米北部の異常多雨がラニーニャ現象時の特徴に一致していた。


エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度

各監視指数の最近10年間の経過
(2001年1月〜2011年2月)
折線は月平均値、滑らかな太線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。

2010年 2011年
エルニーニョ監視指数 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月
基準値との差(℃) +0.7 +0.6 0.0 -0.7 -0.9 -1.0 -1.3 -1.6 -1.6 -1.5 -1.4 -0.8
5か月移動平均(℃) +0.6 +0.3 -0.1 -0.4 -0.8 -1.1 -1.3 -1.4 -1.5 -1.4
南方振動指数 -0.7 +1.5 +0.9 +0.5 +1.8 +1.9 +2.3 +1.8 +1.5 +3.0 +1.8 +1.9
資料提供:気象庁
1月 3月