エルニーニョ現象は冬までは持続する可能性が高い。
2009年7月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤：28℃以上 (下)青：平年より低い
2009年7月の状況
7月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は+0.9℃で 、5月の5か月移動平均値は+0.3℃、また、南方振動指数は+0.2だった。7月の太平洋赤道域の海面水温は、ほぼ全域で正偏差だった。海洋表層の水温も、太平洋赤道域のほぼ全域で正偏差だった。7月の太平洋赤道域の大気下層では、西部で西風偏差、中部で東風偏差が見られた。
今後の見通し（2009年8月〜2010年2月）
太平洋赤道域中部では東風偏差によって表層水温の正偏差がやや弱まったが 、依然として太平洋赤道域のほぼ全体で暖水の蓄積が見られることから、今後しばらくは東部の海面水温の正偏差が維持されると考えられる。
また、エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が 、予測期間中基準値より高い値で推移すると予測している。
以上のことから、エルニーニョ現象は冬までは持続する可能性が高いと考えられる。
西太平洋熱帯域の海面水温は、春以降、概ね基準値に近い値で推移した。西太平洋熱帯域の海面水温は、秋には次第に基準値より低くなると予測される
インド洋熱帯域の海面水温は、昨秋以降、概ね基準値に近い値で推移した。インド洋熱帯域の海面水温は、今後秋にかけて基準値に近い値で推移すると予測される。
7月の日本の天候では、沖縄・奄美を除く各地で多雨、寡照となり、九州南部と関東甲信を除く各地で梅雨明けが平年よりも遅かった。これらの要因の一つとしてエルニーニョ現象の影響が考えられる。今後の日本の天候については、最新の季節予報を参照されたい。
世界の天候では、南米北部の高温とオーストラリアの少雨が 、過去のエルニーニョ現象時の傾向と一致していた。
エルニーニョ監視海域：北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度
各監視指数の最近10年間の経過
(1999年1月〜2009年7月)
折線は月平均値、滑らかな太線は5か月移動平均値
赤：エルニーニョ現象 青：ラニーニャ現象 発生期間
気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。
| 2008年 | 2009年 | |||||||||||
| エルニーニョ監視指数 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 |
| 基準値との差(℃) | +0.6 | +0.2 | -0.2 | -0.1 | -0.6 | -0.5 | -0.6 | -0.6 | -0.1 | +0.4 | +0.7 | +0.9 |
| 5か月移動平均(℃) | +0.2 | +0.2 | 0.0 | -0.2 | -0.4 | -0.5 | -0.5 | -0.3 | 0.0 | +0.3 | ||
| 南方振動指数 | +1.0 | +1.2 | +1.6 | +1.5 | +1.6 | +0.8 | +1.3 | +0.3 | +0.9 | -0.5 | 0.0 | +0.2 |
資料提供：気象庁
