2009年8月

エルニーニョ現象が発生しており、冬までは持続する可能性が高い


2009年8月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い
2009年8月の状況

8月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は+0.8℃で 、6月の5か月移動平均値は+0.5℃、また、南方振動指数は-0.3だった。8月の太平洋赤道域の海面水温は、全域で正偏差だった。海洋表層の水温は、太平洋赤道域の西部から中部にかけて顕著な正偏差だった。8月の太平洋赤道域の大気下層では、東部で西風偏差が見られた。

今後の見通し(2009年9月〜2010年3月)

7月の下旬に見られた太平洋赤道域西部の大気下層の西風偏差によって生じた表層水温の正偏差が、8月には西部から中部を東進していることから、今後、東部の海面水温の正偏差が強まることが考えられる。

また、エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、予測期間中基準値より高い値で推移すると予測している。

以上のことから、エルニーニョ現象が発生しており、冬までは持続する可能性が高いと考えられる。

西太平洋熱帯域の海面水温は、春以降、基準値に近い値で推移しているが、秋には次第に基準値より低くなると予測される。

インド洋熱帯域の海面水温は、昨秋以降、概ね基準値に近い値で推移しており、今後秋の間は基準値に近い値で推移すると予測される。

8月の日本の天候は、北日本と東日本で平均気温が低く、日照時間が少なかった。これらの要因の一つとしてエルニーニョ現象の影響が考えられる。今後の日本の天候については、最新の季節予報を参照されたい。

8月の世界の天候では、インドとパキスタンの高温およびメキシコから南米北部にかけての高温・少雨が過去のエルニーニョ現象時の傾向と一致していた。


エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度

各監視指数の最近10年間の経過
(1999年1月〜2009年8月)
折線は月平均値、滑らかな太線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。

2008年 2009年
エルニーニョ監視指数 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月
基準値との差(℃) +0.2 -0.2 -0.1 -0.6 -0.5 -0.6 -0.6 -0.1 +0.4 +0.7 +0.9 +0.8
5か月移動平均(℃) +0.2 0.0 -0.2 -0.4 -0.5 -0.5 -0.3 0.0 +0.3 +0.5
南方振動指数 +1.2 +1.6 +1.5 +1.6 +0.8 +1.3 +0.3 +0.9 -0.5 0.0 +0.2 -0.3
資料提供:気象庁
7月 9月