2009年9月

エルニーニョ現象が発生しており、冬までは持続する可能性が高い


2009年9月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い
2009年9月の状況

9月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は+0.7℃で 、7月の5か月移動平均値は+0.7℃、また、南方振動指数は+0.3だった。9月の太平洋赤道域の海面水温は、全域で正偏差だった。海洋表層の水温は、太平洋赤道域の西部から中部にかけて顕著な正偏差だった。9月の太平洋赤道域の大気下層では、西部で西風偏差、中部で東風偏差が見られた。

今後の見通し(2009年10月〜2010年4月)

8月に西部から中部へ東進した表層水温正偏差は、9月には中部の東風偏差によって弱められた。一方、西部では9月中、西風偏差が卓越し、西部から中部にかけて再び暖水が蓄積された。今後、この暖水が東進し、東部の海面水温の正偏差を強めることが考えられる。

また、エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、予測期間中基準値より高い値で推移すると予測している。

以上のことから、エルニーニョ現象が発生しており、冬までは持続する可能性が高いと考えられる。

西太平洋熱帯域の海面水温は、春以降、概ね基準値に近い値で推移しているが、今後冬にかけて次第に基準値より低くなると予測される。

インド洋熱帯域の海面水温は、夏には基準値よりやや高かったが、9月には基準値に近づいた。今後冬にかけて、基準値に近い、または基準値よりやや高い値で推移すると予測される。

9月の日本の天候には、エルニーニョ現象の影響は明瞭には見られなかった。今後の日本の天候については、最新の季節予報を参照されたい。

9月の世界の天候では、南米北部の高温が過去のエルニーニョ現象時の傾向と一致していた。


エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度

各監視指数の最近10年間の経過
(1999年1月〜2009年9月)
折線は月平均値、滑らかな太線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。

2008年 2009年
エルニーニョ監視指数 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
基準値との差(℃) -0.2 -0.1 -0.6 -0.5 -0.6 -0.6 -0.1 +0.4 +0.7 +0.9 +0.8 +0.7
5か月移動平均(℃) 0.0 -0.2 -0.4 -0.5 -0.5 -0.3 0.0 +0.3 +0.5 +0.7
南方振動指数 +1.6 +1.5 +1.6 +0.8 +1.3 +0.3 +0.9 -0.5 0.0 +0.2 -0.3 +0.3
資料提供:気象庁
8月 10月