2009年10月

エルニーニョ現象が発生しており、春にかけて持続する可能性が高い


2009年10月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い
2009年10月の状況

10月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は+0.7℃で 、8月の5か月移動平均値は+0.8℃、また、南方振動指数は-1.3だった。10月の太平洋赤道域の海面水温は、中部で顕著な正偏差だった。海洋表層の水温は、太平洋赤道域の中部で顕著な正偏差だった。10月の太平洋赤道域の大気下層では、ほぼ全域で西風偏差となり、上旬と下旬には西部で顕著な西風偏差が見られた。

今後の見通し(2009年11月〜2010年5月)

中部を東進している暖水は、今後さらに東進し、東部の海面水温の正偏差を強めると考えられる。 また、エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、予測期間中、基準値より高い値で推移すると予測している。

以上のことから、エルニーニョ現象が発生しており、春にかけて持続する可能性が高い

西太平洋熱帯域の海面水温は、秋に入って基準値よりやや低い値で推移し、今後冬にかけても基準値よりやや低い値で推移すると予測される。

インド洋熱帯域の海面水温は、夏以降、概ね基準値よりやや高い値で推移している。今後冬にかけて、基準値に近い、または基準値よりやや高い値で推移すると予測される。

10月の日本の天候には、エルニーニョ現象の影響は明瞭には見られなかった。今後の日本の天候については、最新の季節予報を参照されたい。

10月の世界の天候では、ギリシャ周辺とサヘル周辺の多雨が過去のエルニーニョ現象時の傾向と一致していた。


エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度

各監視指数の最近10年間の経過
(1999年1月〜2009年10月)
折線は月平均値、滑らかな太線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。

2008年 2009年
エルニーニョ監視指数 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
基準値との差(℃) -0.1 -0.6 -0.5 -0.6 -0.6 -0.1 +0.4 +0.7 +0.9 +0.8 +0.7 +0.7
5か月移動平均(℃) -0.2 -0.4 -0.5 -0.5 -0.3 0.0 +0.3 +0.5 +0.7 +0.8
南方振動指数 +1.5 +1.6 +0.8 +1.3 +0.3 +0.9 -0.5 0.0 +0.2 -0.3 +0.3 -1.3
資料提供:気象庁
9月 11月