2009年11月

エルニーニョ現象が発生しており、春にかけて持続する可能性が高い


2009年11月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い
2009年11月の状況

11月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は+1.3℃で、9月の5か月移動平均値は+0.9℃、また、南方振動指数は-0.5だった。11月の太平洋赤道域の海面水温は、全域で正偏差だった。海洋表層の水温は、太平洋赤道域の中部から東部にかけて顕著な正偏差だった。11月の太平洋赤道域の大気下層では、上旬から中旬にかけて西部で東風偏差が見られ、その後西風偏差が見られた。

今後の見通し(2009年12月〜2010年6月)

中部から東部へ東進した暖水は、今後しばらくの間、東部の海面水温の正偏差を維持すると考えられる。

また、エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、今後春にかけて基準値より高い値で推移するが、次第に基準値に近づくと予測している。

以上のことから、エルニーニョ現象が発生しており、春にかけて持続する可能性が高い。

西太平洋熱帯域の海面水温は、秋には概ね基準値よりやや低い値で推移しており、冬にも基準値よりやや低い値で推移すると予測される。

インド洋熱帯域の海面水温は、夏以降、概ね基準値よりやや高い値で推移している。冬には、基準値に近い、または基準値よりやや高い値で推移すると予測される。

11月の日本の天候には、エルニーニョ現象時の明瞭な特徴は見られなかった。

11月の世界の天候では、ヨーロッパ西部の高温・多雨がエルニーニョ現象時の傾向と一致していた。


エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度

各監視指数の最近10年間の経過
(1999年1月〜2009年11月)
折線は月平均値、滑らかな太線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。

2008 2009年
エルニーニョ監視指数 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月
基準値との差(℃) -0.6 -0.5 -0.6 -0.6 -0.1 +0.4 +0.7 +0.9 +0.8 +0.7 +0.7 +1.3
5か月移動平均(℃) -0.4 -0.5 -0.5 -0.3 0.0 +0.3 +0.5 +0.7 +0.8 +0.9
南方振動指数 +1.6 +0.8 +1.3 +0.3 +0.9 -0.5 0.0 +0.2 -0.3 +0.3 -1.3 -0.5
資料提供:気象庁
10月 12月