2009年12月

エルニーニョ現象が発生しており、春まで持続する可能性が高い


2009年12月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い
2009年12月の状況

12月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は+1.4℃で、10月の5か月移動平均値は+1.0℃、また、南方振動指数は-0.7だった。12月の太平洋赤道域の海面水温は、中部と東部で顕著な正偏差だった。海洋表層の水温は、太平洋赤道域の東部で顕著な正偏差だった。12月の太平洋赤道域の大気下層では、上旬から中旬にかけては日付変更線の西側で、また、中旬から下旬にかけては日付変更線の東側で顕著な西風偏差が見られた。

今後の見通し(2010年1月〜2010年7月)

10月から11月にかけて東進していた暖水は、12月には南米沿岸に達した。12月には中部で新たな暖水の東進が見られ、今後しばらくの間、東部の海面水温の正偏差を維持すると考えられる。

また、エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、今後春にかけて基準値より高い値で推移するが、次第に基準値に近づくと予測している。

以上のことから、エルニーニョ現象が発生しており、春まで持続する可能性が高い。

西太平洋熱帯域の海面水温は、秋には概ね基準値よりやや低い値で推移しており、冬の間は基準値よりやや低い値で推移すると予測される。

インド洋熱帯域の海面水温は、夏以降、概ね基準値よりやや高い値で推移している。冬から春にかけては、基準値よりやや高い値で推移すると予測される。

12月の日本の天候には、エルニーニョ現象時の明瞭な特徴は見られなかった。

12月の世界の天候では、インドシナ半島からインドネシアにかけての高温、米国南部の多雨がエルニーニョ現象時の傾向と一致していた。


エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度

各監視指数の最近10年間の経過
(1999年1月〜2009年12月)
折線は月平均値、滑らかな太線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。

2009年
エルニーニョ監視指数 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
基準値との差(℃) -0.5 -0.6 -0.6 -0.1 +0.4 +0.7 +0.9 +0.8 +0.7 +0.7 +1.3 +1.4
5か月移動平均(℃) -0.5 -0.5 -0.3 0.0 +0.3 +0.5 +0.7 +0.8 +0.9 +1.0
南方振動指数 +0.8 +1.3 +0.3 +0.9 -0.5 0.0 +0.2 -0.3 +0.3 -1.3 -0.5 -0.7
資料提供:気象庁
11月 1月