2010年1月

エルニーニョ現象は春から夏の間に終息する可能性が高い


2010年1月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い
2010年1月の状況

1月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は+1.1℃だった。11月の5か月移動平均値は+1.0℃で6か月続けて+0.5℃以上となった。南方振動指数は-0.9だった。1月の太平洋赤道域の海面水温は、中部で顕著な正偏差だった。海洋表層の水温は、太平洋赤道域の中部から東部にかけて正偏差、西部で負偏差だった。1月の太平洋赤道域の大気下層では、上上旬から中旬にかけて東部で東風偏差、下旬には日付変更線付近で顕著な西風偏差が見られた。

今後の見通し(2010年2月〜2010年8月)

12月から1月にかけて中旬にかけて中部から東部へ東進していた暖水は、東部の東風偏差で弱められた。一方、西部には表層水温の負偏差が見られ、これが今後東進すれば、太平洋赤道域の暖水の解消に寄与することが考えられる。

エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、今後春にかけて基準値より高い値で推移するが、次第に基準値に近づくと予測している。

以上のことから、エルニーニョ現象は春から夏の間に終息する可能性が高い。

西太平洋熱帯域の海面水温は、秋以降、概ね基準値より低い値で推移しており、今後春にかけて基準値より低い値で推移するが、次第に基準値に近づくと予測される。

インド洋熱帯域の海面水温は、夏以降、概ね基準値よりやや高い値で推移している。今後春にかけて基準値よりやや高い、または、基準値に近い値で推移すると予測される。

1月の日本の天候には、エルニーニョ現象時の明瞭な特徴は見られなかった。今後の日本の天候については、最新の季節予報を参照されたい。

1月の世界の天候では、米国北西部と南米東部の高温がエルニーニョ現象時の傾向と一致していた。


エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度

各監視指数の最近10年間の経過
(2000年1月〜2010年1月)
折線は月平均値、滑らかな太線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。

2009年 2010
エルニーニョ監視指数 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月
基準値との差(℃) -0.6 -0.6 -0.1 +0.4 +0.7 +0.9 +0.8 +0.7 +0.7 +1.3 +1.4 +1.1
5か月移動平均(℃) -0.5 -0.3 0.0 +0.3 +0.5 +0.7 +0.8 +0.9 +1.0 +1.0
南方振動指数 +1.3 +0.3 +0.9 -0.5 0.0 +0.2 -0.3 +0.3 -1.3 -0.5 -0.7 !-0.9
資料提供:気象庁
12月 2月