2010年2月

エルニーニョ現象は、春の内に終息する可能性が高い

インド洋熱帯域の海面水温は、春から夏にかけて基準値より高い値で推移すると予測される


2010年2月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い
2010年2月の状況

2月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は+0.8℃だった。12月の5か月移動平均値は+1.1℃だった。南方振動指数は-1.1だった。2月の太平洋赤道域の海面水温は、中部で顕著な正偏差だった。太平洋赤道域の海洋表層の水温は、中部で顕著な正偏差、西部で負偏差だった。2月の太平洋赤道域では、中部の対流活動が平年より活発で、上旬から中旬にかけては大気下層の日付変更線付近で顕著な西風偏差が見られた。

今後の見通し(2010年3月〜2010年9月)

太平洋赤道域の中部の暖水の東進により、中部から東部にかけての海面水温正偏差は2〜3か月維持されると考えられるが、その後、この暖水の西にある冷水が東進し、太平洋赤道域の海面水温正偏差は解消に向かうと考えられる

エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、春の後半から夏にかけて基準値に近づくと予測している。

以上のことから、エルニーニョ現象は春の内に終息する可能性が高い。

西太平洋熱帯域の海面水温は、秋以降、概ね基準値より低い値で推移したが、今後夏にかけて次第に基準値に近づくと予測される。

インド洋熱帯域の海面水温は、秋から冬にかけて概ね基準値より高い値で推移している。今後春から夏にかけて基準値より高い値で推移すると予測される。

2月の日本の天候では、、西日本の高温、東日本太平洋側と西日本および沖縄・奄美の多雨、東日本太平洋側と西日本太平洋側の寡照、がエルニーニョ現象時の傾向と一致していた。今後の日本の天候については、最新の季節予報を参照されたい。

2月の世界の天候では、南米の北部および東部の高温、アフリカのサヘル西部の高温、インドネシア付近の少雨、がエルニーニョ現象時の特徴と一致していた。また、インド南部の高温とインドシナ半島からインドネシアにかけての高温がインド洋熱帯域の海面水温の高温時の特徴と一致していた。


エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度

各監視指数の最近10年間の経過
(2000年1月〜2010年2月)
折線は月平均値、滑らかな太線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。

2009年 2010年
エルニーニョ監視指数 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月
基準値との差(℃) -0.6 -0.1 +0.4 +0.7 +0.9 +0.8 +0.7 +0.7 +1.3 +1.4 +1.1 +0.8
5か月移動平均(℃) -0.3 0.0 +0.3 +0.5 +0.7 +0.8 +0.9 +1.0 +1.0 +1.1
南方振動指数 +0.3 +0.9 -0.5 0.0 +0.2 -0.3 +0.3 -1.3 -0.5 -0.7 -0.9 -1.1
資料提供:気象庁
1月 3月