2010年3月

エルニーニョ現象は、春の内に終息する可能性が高い

インド洋熱帯域の海面水温は、今後夏にかけて基準値より高い値で推移すると予測される。


2010年3月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い
2010年3月の状況

3月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は+0.7℃だった。1月の5か月移動平均値は+1.1℃だった。南方振動指数は-0.7だった。3月の太平洋赤道域の海面水温は、中部で顕著な正偏差だった。太平洋赤道域の海洋表層の水温は、東部で顕著な正偏差、日付変更線付近で顕著な負偏差が見られた。3月の太平洋赤道域では、日付変更線付近の対流活動が平年より活発で、上旬にはほぼ全域で大気下層の西風偏差が見られた。一方、下旬には西部で東風偏差が見られた。

今後の見通し(2010年4月〜2010年10月)

太平洋赤道域の中部の暖水の東進により、中部から東部にかけての海面水温正偏差は1〜2か月維持されると考えられるが、その後、この暖水の西にある冷水が東進し、太平洋赤道域の海面水温正偏差は解消に向かうと考えられる。

エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、今後基準値に近づき、夏には基準値に近い値で推移すると予測している。

以上のことから、エルニーニョ現象は春の内に終息する可能性が高い。

西太平洋熱帯域の海面水温は、今後夏にかけて基準値に近い値で推移すると予測される。

インド洋熱帯域の海面水温は、秋以降、概ね基準値より高い値で推移している。今後、夏にかけて基準値より高い値で推移すると予測される。

3月の日本の天候では、沖縄・奄美の高温がエルニーニョ現象時の傾向と一致していた。今後の日本の天候については、最新の季節予報を参照されたい。

3月の世界の天候では、南アフリカからマダガスカルにかけてと南米北部の高温がエルニーニョ現象時の特徴と一致していた。


エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度

各監視指数の最近10年間の経過
(2000年1月〜2010年3月)
折線は月平均値、滑らかな太線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。

2009年 2010年
エルニーニョ監視指数 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
基準値との差(℃) -0.1 +0.4 +0.7 +0.9 +0.8 +0.7 +0.7 +1.3 +1.4 +1.1 +0.8 +0.7
5か月移動平均(℃) 0.0 +0.3 +0.5 +0.7 +0.8 +0.9 +1.0 +1.0 +1.1 +1.1
南方振動指数 +0.9 -0.5 0.0 +0.2 -0.3 +0.3 -1.3 -0.5 -0.7 -0.9 -1.1 -0.7
資料提供:気象庁
2月 4月