2010年4月

エルニーニョ現象は春の内に終息するとみられ、秋にはラニーニャ現象が発生する可能性がある。

インド洋熱帯域の海面水温は、今後夏にかけて基準値より高い値で、秋には基準値に近い値で推移すると予測される。


2010年4月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い
2010年4月の状況

4月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は+0.6℃だった。2月の5か月移動平均値は+0.9℃だった。南方振動指数は+1.5だった。4月の太平洋赤道域の海面水温は、日付変更線付近で顕著な正偏差だった。太平洋赤道域の海洋表層の水温では、西部から中部にかけての深さ80〜200m付近に顕著な負偏差が見られた。4月の太平洋赤道域では、対流活動は概ね平年並で、大気下層の東西風も概ね平年並だった。

今後の見通し(2010年5月〜2010年11月)

太平洋赤道域では、東進していた暖水の西側にあった海洋表層の負偏差が、4月末には、ほぼ全域に広がったことから、今後、中部から東部にかけての海面水温の正偏差は解消し、負偏差になっていくと考えられる。

エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、夏から秋にかけて、基準値に近い値から基準値より低い値へ推移すると予測している。

以上のことから、エルニーニョ現象は春の内に終息するとみられ、秋にはラニーニャ現象が発生する可能性がある。

西太平洋熱帯域の海面水温は、夏から秋にかけて概ね基準値に近い値で推移すると予測される。

インド洋熱帯域の海面水温は、冬から春にかけて基準値より高い値で推移している。今後夏にかけて基準値より高い値で、秋には基準値に近い値で推移すると予測される。

4月の日本の天候では、西日本の多雨と寡照がエルニーニョ現象時の傾向と一致していた。今後の日本の天候については、最新の季節予報を参照されたい。

4月の世界の天候では、インドシナ半島、インド、マダガスカルの高温がインド洋熱帯域の高温時の特徴と一致していた。


エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度

各監視指数の最近10年間の経過
(2000年1月〜2010年4月)
折線は月平均値、滑らかな太線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。

2009年 2010年
エルニーニョ監視指数 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月
基準値との差(℃) +0.4 +0.7 +0.9 +0.8 +0.7 +0.7 +1.3 +1.4 +1.1 +0.8 +0.7 +0.6
5か月移動平均(℃) +0.3 +0.5 +0.7 +0.8 +0.9 +1.0 +1.0 +1.1 +1.1 +0.9
南方振動指数 -0.5 0.0 +0.2 -0.3 +0.3 -1.3 -0.5 -0.7 -0.9 -1.1 -0.7 +1.5
資料提供:気象庁
3月 5月