2011年5月

エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続いている

夏も平常の状態が続く可能性が高い


2011年5月の海面水温(上)と平年偏差(下)
(上)赤:28℃以上  (下)青:平年より低い
2011年5月の状況

5月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は-0.1℃、3月を中心とした5か月平均値 は-0.7℃だった。5月の南方振動指数は +0.4だった。5月の太平洋赤道域の海面水温は、 中部で負偏差だった。太平洋赤道域の海洋表層の水温は、ほぼ全域で正偏差だった。これらの海洋の状況は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態 が続いていることを示している。

今後の見通し(2011年6月〜2011年12月)

大気では、赤道季節内振動の対流活発な位相が、5月の上旬から中旬にかけて太平洋を東進 した。これに伴い、大気下層では、上旬から中旬にかけて太平洋赤道域の広い範囲で西風偏差が見ら れたが、西部の海洋表層に蓄積された暖水の東進は明瞭ではなかった。

エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、夏から秋にかけて基準値に近い 値かまたは基準値より高い値で推移すると予測しているが、依然、予測期間後半の不確実性は大きい。

以上のことから、夏は平常の状態が続く可能性が高い。ただし、予測の不確実性は大きく、エルニー ニョ現象が発生する可能性もある。

西太平洋熱帯域の海面水温は、昨年夏から基準値より高い値が続いていたが、5月には基準値に近 い値となった。夏は基準値に近い値で推移すると予測される。

インド洋熱帯域の海面水温は、12月から基準値より低い値で推移している。今後次第に基準 値に近づくと予測される。


エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度

各監視指数の最近10年間の経過
(2001年1月〜2011年5月)
折線は月平均値、滑らかな太線は5か月移動平均値
赤:エルニーニョ現象 青:ラニーニャ現象 発生期間

気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。

2010年 2011年
エルニーニョ監視指数 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月
基準値との差(℃) 0.0 -0.9 -1.0 -1.3 -1.6 -1.6 -1.5 -1.4 -0.8 -0.7 -0.3 -0.1
5か月移動平均(℃) -0.4 -0.8 -1.1 -1.3 -1.4 -1.5 -1.4 -1.2 -0.9 -0.7
南方振動指数 +0.5 +1.8 +1.9 +2.3 +1.8 +1.5 +3.0 +1.8 +1.9 +2.0 +2.2 +0.4
資料提供:気象庁
4月 6月