エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続いている。
今後も秋にかけて平常の状態が続く可能性が高い。
2011年6月の海面水温(上)と平年偏差(下)
2011年6月の状況
6月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は+0.1℃、 4月を中心とした5か月平均値は-0.4℃だった。6月の南方振動指数は+0.4だった。6月の太平洋赤道域の海面水温は、西部と東部で正偏差、中部で負偏差が見られたが、概ね平年並に近い値だった。太平洋赤道域の海洋表層の水温は、西部から東部にかけて正偏差が見られ、西部の暖水の蓄積が弱まった。これらの海洋の状況は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続いていることを示している。
今後の見通し(2011年7月〜2012年1月)
一方、6月の大気では、西部太平洋赤道域で平年よりも対流活動が活発で、日付変更線付近の大気 下層では東風偏差が持続した。
エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、秋にかけて概ね基準値に近い値で推移すると予測している。
以上のことから、今後も秋にかけて平常の状態が続く可能性が高い。
西太平洋熱帯域の海面水温は、5月から基準値に近い値が続いている。今後も秋にかけて基 準値に近い値が続くと予測される。
インド洋熱帯域の海面水温は、12月から基準値より低い値で推移していたが、6月には基準値に近い値になった。今後も秋にかけて基準値に近い値が続くと予測される。
エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度
各監視指数の最近10年間の経過
(2001年1月〜2011年6月)
気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。
2010年 | 2011年 | |||||||||||
エルニーニョ監視指数 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
基準値との差(℃) | -0.9 | -1.0 | -1.3 | -1.6 | -1.6 | -1.5 | -1.4 | -0.8 | -0.7 | -0.3 | -0.1 | +0.1 |
5か月移動平均(℃) | -0.8 | -1.1 | -1.3 | -1.4 | -1.5 | -1.4 | -1.2 | -0.9 | -0.7 | -0.4 | ||
南方振動指数 | +1.8 | +1.9 | +2.3 | +1.8 | +1.5 | +3.0 | +1.8 | +1.9 | +2.0 | +2.2 | +0.4 | +0.4 |
資料提供:気象庁