平常の状態が続いており、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない。
この平常の状態は、秋から冬にかけても続く可能性が高い。
2011年8月の海面水温(上)と平年偏差(下)
2011年8月の状況
平常の状態が続いている。
エルニーニョ監視海域の海面水温は基準値に近い値で、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の
状態が続いていることを示している。太平洋赤道域の中部の海面水温は平年より低い値
だった。太平洋赤道域の海洋表層では、西部の暖水は維持され、中部から東部にかけ
ての水温が平年より低くなった。太平洋赤道域の大気では、西部で平年よりも対流活
動が活発で、上旬には中部で、下旬には西部で平年より強い下層の東風が見られた。
今後の見通し(2011年9月〜2012年3月)
秋から冬にかけても平常の状態が続く可能性が高い。
エルニーニョ予測モデルは、
予測期間中、エルニーニョ監視海域の海面水温が基準値に近い値で推移すると予測している。
このことから、秋から冬にかけては平常の状態が続く可能性が高い。一方、今後も太平洋赤道域の
大気下層で平年より強い東風が続けば、ラニーニャ現象が発生することも考えられる。
西太平洋熱帯域:8月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値より低い値だった。今後、基 準値に近づき、秋から冬にかけて基準値に近い値で推移すると予測される。
インド洋熱帯域: 8月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値に近い値だった。今後、秋に は基準値より一時的に高くなるが、冬は基準値に近い値で推移すると予測される
エルニーニョ監視海域:北緯5度〜南緯5度、西経150度〜90度
各監視指数の最近10年間の経過
(2001年1月〜2011年8月)
気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象としている。
2010年 | 2011年 | |||||||||||
エルニーニョ監視指数 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
基準値との差(℃) | -1.3 | -1.6 | -1.6 | -1.5 | -1.4 | -0.8 | -0.7 | -0.3 | -0.1 | +0.1 | 0.0 | -0.4 |
5か月移動平均(℃) | -1.3 | -1.4 | -1.5 | -1.4 | -1.2 | -0.9 | -0.7 | -0.4 | -0.2 | -0.2 | ||
南方振動指数 | +2.3 | +1.8 | +1.5 | +3.0 | +1.8 | +1.9 | +2.0 | +2.2 | +0.4 | +0.4 | +1.2 | +0.5 |
資料提供:気象庁