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2003年9月30日更新

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NHKブックス814
『深海底の科学』


著者・藤岡換太郎
発行所・日本放送出版協会
初版・1997年11月25日
(C)1997 Kantaro Fujioka Printed in japan
ISBN 4-14-001814-3
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【本文より引用】
「一九一二年、ドイツの気象学者アルフレッド・ウェーゲナー(1880ー1930)は大陸が移動したことを発表した。当時の地球科学者たちは大地は動かないものと信じていた。したがって彼の考えはいかにも奇抜で、天文学者のコペルニクスやガリレオのように多くの人々の反発を買った。」
(P35〜「大陸を動かした男ーアルフレッド・ウェーゲナー」より)

「たとえば地図帳を引っ張り出してアフリカ大陸の西と南米大陸の東の海岸線を見ると、その類似性にあらためて驚く。私たちは太平洋を中心にして描かれた地図を見慣れているので気が付きにくいが、大西洋を中心にしたヨーロッパの地図を見ると海岸線の類似性は明らかで、ほとんど議論の余地がない。大陸移動説がヨーロッパからたやすく出てきたことはうなずける。海岸線は、たとえばブラジルで東に出っ張っているところは中央アフリカで凹んでいるといった具合に、実際地図をハサミで切って合わせてみるとほとんどぴったりと重なり合うことがわかる。ウェーゲナーはまずこのことに注目した。」
(P36〜「重なり合う大陸ー地形や地質の証拠」より)

「ウェーゲナーはこのような様々な証拠を引っ提げて「大陸移動説」を提唱し、その本は四回も改訂された。当時の地球物理の研究者は彼の考えを魅力的だとは思いながらも、大陸を動かす原動力に疑問を抱き、(中略)その翌年、彼は年来の研究のためグリーンランドへ調査に出かけ帰らぬ人となったのである。こうして「大陸移動説」はウェーゲナーの死とともに滅び去ったかに見えた。
地球物理学者の中でただ一人、ウェーゲナーの考えを支持していたのが、イギリスはエジンバラ大学のアーサー・ホームズ(1890-1965)であった。
彼は地球内部のマントルは温度が高くここで対流が起こっており、対流の湧き出し口には地下から物質が上がってきて、沈み口では逆に物質が地球の内部に沈み込むであろう、その対流に乗って大陸が受動的に移動するのではないかと考え、彼の著書『一般地質学原理』に書いている。後にこのモデルが生きてくるのである。(中略)ここでついに魅力的な大陸移動説は、ウェーゲナーの死後20年ほどたってにわかに復活したのである。
(P39「マントル対流を考えたアーサー・ホームズ」〜P43「大陸移動説の劇的な復活」より)


ウェーゲナーが大陸移動説の根拠としたのは、
  1. 南米の東海岸とアフリカ西海岸の地形がよく似ている。
  2. 古生代末期(およそ2億年前)の氷河の跡が、南米、アフリカ、インド、オーストラリアの4つの大陸に残っている。
  3. 化石種が、南米とアフリカの両大陸ではこの時代のものは同一種だが、それ以降の化石種は両大陸で全く異なっていること。
などである。その後1950年代になってイギリスを中心とする古地磁気の研究や、アメリカなどでのプレートテクトニクス論によって大陸移動説はよみがえった。
なお、白亜紀(1億3500万年〜6500万年前)になると日本列島が大陸から切り離され、白亜紀の終わりには直径10kmの彗星が激突して細かい塵が地球の表面を覆い、恐竜など爬虫類が絶滅するという大事件が起きた。

この本の後半は、日本近海のプレートを海底から眺めた詳しい説明がなされている。たとえば、白亜紀に地球上最大のプレート「太平洋プレート」が誕生して日本列島の下に潜り込み、それに沿って千島海溝、日本海溝、伊豆小笠原海溝からマリアナ海溝へと連なっていること、等々が岩石質の分析を含めて述べられている。
地震に関する話題が多くなっているこの頃、こうしたプレートや海嶺など海洋底の地球科学に関する本を開いてみるのも意義深いことに思われる。

森川 達夫(もりかわ・たつお)
1923年 三重県に生まれる。
1945年 中央気象台付属気象技術官養成所(現気象大学校)卒業、
津地方気象台勤務。
1957年 航空自衛隊気象幹部。
1968-1998年 財団法人日本気象協会。
2002-2003年 株式会社ウェザーマップ技術顧問。
気象予報士、技術士(応用理学)。


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