冬の手軽なメニューの上位は、ある調査によれば、鍋料理、カレー、うどん、そばの順位である。鍋メニューでは、寄せ鍋、水炊き、湯豆腐など食材が選びやすいものと、すき焼き、しゃぶしゃぶなど肉類が主役のものに分けられる。
鍋物になんといっても欠かせないのがきのこ、栄養とうまみをどうアップさせるか腕の見せ所である。きのこは野菜と違って「植物」ではなく「菌類」に属し、食用になるのは百数十種類。重さの9割は水分がしめており、カロリーの低いのが自慢である。
きのこには、便通をよくする食物繊維が豊富に含まれており、なかでも「β-D-グルカン」が注目される。この繊維には免疫の活性化を促す作用があり、抗ガン剤の材料としても利用されるものがある。
売られているきのこは機械的に乾燥させたものが多いが、ここでそのまま調理するのを控えて、天日で乾燥させる。生のまま調理するよりも天日で乾燥させた方が、栄養価が高くなり「うまみ」もグンと増すからである。きのこに紫外線と熱を加えると、豊富に含まれている物質エルゴステロールがビタミンD2に変わり、カルシウムの吸収がよくなる。シイタケを天日干しするとこの効果が一層顕著になる。
つぎに「うまみ」。きのこのうまみは含まれているグア二ル酸にある。乾燥させてから水で戻して調理すると、グア二ル酸の量が増加してきのこのうまみが一段とアップするという。
天日干しをするには、傘の下のひだを上にして太陽に当てるのがよい。完全に乾燥するには数日かかるが、わずか2,3時間干しただけでも美味しくなるといわれる。
一方、うま味を引き出す方法には、天日干しのほかに冷凍する方式もある。冷凍すると、天日干しと同じように酵素が反応してグア二ル酸が増えうまみが増すという。研究者はこの方式を推奨しており、天候に左右されない点は簡便かもしれない。効果のほどは天日・冷凍ともに大差はなさそうである。(読売新聞より)