特別コラム「昔の予報官」

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禁煙・節酒  がん予防の決め手
2009.5.11
 5月31日は「世界禁煙デー」、6月6日までが禁煙週間で平成4年から続く世界的な行事である。
 さて、がんや心筋梗塞を予防するには、お腹のベルトで肥満に一喜一憂するよりは、まず喫煙や酒の飲みすぎをやめることが先決なようである。厚生労働省の調査で分かった。
 40〜69歳の男女約9万6000人を10〜13年間追跡した結果、喫煙・飲酒・肥満の3つの要因と、がんや心筋梗塞など循環器系の病気との関連がつぎのように浮かび上がった。
 禁煙したケースと、飲酒量を減らしたケースでは、10年後の生存率はすべての年齢で向上している。一方、BMI(体重を身長の2乗で割った値、標準は22)を改善しただけのケースでは生存率に目立った変化は見られなかった。
 男性のうち「たばこは吸わず、飲酒は時々、BMI 25〜27」は健康的なグループにランクされ、10年後もがんや循環器系の病気になることはなく生存する割合が最も高かった。これに対して「喫煙1日40本以上、飲酒毎日2合以上、BMI 30以上」は最も不健康なグループに属する。
 50〜54歳の男性でみると、最も不健康なグループは健康なグループに比べて、10年間でがんになる割合がなんと2.8倍、循環器系の病気は4.8倍も多いという。     
 (2009年2月20日 読売新聞より)
成田空港事故とウインドシア
2009.3.26
 3月23日、アメリカの貨物機が成田空港で着陸に失敗して炎上、操縦士2人が死亡した。原因として「ウインドシア」による風の急変が注目されているが、別にポーポイズ現象の可能性が重要視されている。
 この事故で、成田空港A滑走路は26時間閉鎖され国際線120便が欠航した。

◆ウインドシア
 当日、事故の前に着陸した日航機から、成田付近の低層でウインドシアがあるとの報告が入っており、付近の航空機にも放送された。この事故機も傍受したとみられる。
 ウインドシア(Wind shear)とは、前線や上空のジェット気流付近で発生する乱気流の一つであり、上下または水平方向に風向や風速の急激な変化が生ずる現象である。低い層でのウインドシアは、航空機の対気速度や揚力に急変をもたらす。特に、速度を落として着陸態勢に入る飛行機にとっては最も注意を要する現象の一つである。 93年の岩手県花巻空港における着陸機の炎上事故もウインドシアが原因であった。
 今回も千葉県には21日から強風注意報が発令され成田航空気象台は22日からウインドシアの情報が発表されていた。
 
◆ポーポイズ現象
 この事故機は滑走路に接地するや否やあたかもイルカが海面を跳ねるように大きくバウンドし、これによって機体の制御が極めて困難になったことが24日わかった。いわゆる「ポーポイズ」現象である。
 ポーポイズporpoiseとは「ネズミイルカ」のことで、転じてイルカのように跳ねることをいう。機体が急角度で降下したり上からの強い突風で圧迫されるときに起きやすく、小型機に多いという。1975年からの国内のポーポイズによる事故は14件、すべて小型機である。
46年ぶりの皆既日食
2009.1.17
 きたる7月22日、鹿児島県種子島から奄美大島にかけて、陸地では46年ぶりに皆既日食となる。日食の時間は前回(1963年、北海道東部)の35秒に対して、今回は6分25秒のロングショーである。トカラ列島は南北160kmの海域に12の島が点在しており、人口は624人だが、この日食を見に押し寄せる観光客は2万2千人にもなる。
 九州南部と島の間は定員200名の村営船が往復するだけ、宿泊は民宿が25軒、電力・水道などのインフラは島民の分しかない。村では日食ツアーを大手トラベル会社に委託したり、電力、飲料水、宿泊施設、医師など広い範囲の準備に大わらわだという。(読売新聞から)
 
◆太陽活動
 前に、「太陽風弱まる」と題して今年の太陽活動が弱まっているらしいことを書いた。
太陽活動の強さをあらわすといわれる黒点の数が、今年は明らかに減少している。約11年の周期で増減を繰返している黒点が、増えてくるはずの10月になっても回復の兆しがない。
そこで、思い出すのは17世紀後半から70年つづいた無黒点の期間「マウンダーミニマム」です。 以下次号へ。
天璋院、金星を観る
2008.12.25
 135年前の明治7年12月9日、天璋院篤姫は金星が太陽と地球の間を通過するのを一橋邸の庭園で観たと思われる。その2ヶ月前の10月に篤姫と和宮が連れだって勝邸を訪れ金星の話を聞かされていた、待ちに待ったひと時である。大奥の時代であったなら、大老滝山をはじめ御殿女中3000人の華やかな歓声が溢れたことであろうか。
 この日は日本が観測に最適の位置にあったことから、世界中の観測者が集まり、アメリカ・フランス・メキシコは日本での観測を申し入れてきた。当時日本の天文学はまだ初期の時代であり、東京天文台もなく観測方法の知識も不十分であった。明治政府はかつての黒船来航の時にも似た危機感に苦悩していたが、そのとき勝海舟の一言が政府を動かした。
 「日本人はこれを機会に外国の観測を勉強しよう」
物理、天文、航海、用兵からオランダ語と、広い範囲に精通した勝の一言であった。
 日本全国の天文家は政府の奨励を受けて金星の通過を観測し、明治天皇もこれを見たといわれる。
 観測は、神戸、長崎、横浜で行われ、これによって太陽−地球間の距離が1億4千800万kmと推定された。もう一つの目的であった日本の緯度経度の測定は正確に行われ、明石の東経135を確定するに至った。 
 この観測の記念碑が神戸に建てられ、100年後の1974年12月には横浜野毛公園近くの青少年センターにも記念碑が建てられた。
 太陽−地球間の平均距離は、102年後(1976年)の米国マサチュ−セッツ工科大学のレーダー観測により、「1天文単位(AU:Astronomical Unit)=1億4959万7870km が採用されている。
旬の話 - きのこを食べる
2008.12.9
 冬の手軽なメニューの上位は、ある調査によれば、鍋料理、カレー、うどん、そばの順位である。鍋メニューでは、寄せ鍋、水炊き、湯豆腐など食材が選びやすいものと、すき焼き、しゃぶしゃぶなど肉類が主役のものに分けられる。
 鍋物になんといっても欠かせないのがきのこ、栄養とうまみをどうアップさせるか腕の見せ所である。きのこは野菜と違って「植物」ではなく「菌類」に属し、食用になるのは百数十種類。重さの9割は水分がしめており、カロリーの低いのが自慢である。
 きのこには、便通をよくする食物繊維が豊富に含まれており、なかでも「β-D-グルカン」が注目される。この繊維には免疫の活性化を促す作用があり、抗ガン剤の材料としても利用されるものがある。
 売られているきのこは機械的に乾燥させたものが多いが、ここでそのまま調理するのを控えて、天日で乾燥させる。生のまま調理するよりも天日で乾燥させた方が、栄養価が高くなり「うまみ」もグンと増すからである。きのこに紫外線と熱を加えると、豊富に含まれている物質エルゴステロールがビタミンD2に変わり、カルシウムの吸収がよくなる。シイタケを天日干しするとこの効果が一層顕著になる。
 つぎに「うまみ」。きのこのうまみは含まれているグア二ル酸にある。乾燥させてから水で戻して調理すると、グア二ル酸の量が増加してきのこのうまみが一段とアップするという。
 天日干しをするには、傘の下のひだを上にして太陽に当てるのがよい。完全に乾燥するには数日かかるが、わずか2,3時間干しただけでも美味しくなるといわれる。
 一方、うま味を引き出す方法には、天日干しのほかに冷凍する方式もある。冷凍すると、天日干しと同じように酵素が反応してグア二ル酸が増えうまみが増すという。研究者はこの方式を推奨しており、天候に左右されない点は簡便かもしれない。効果のほどは天日・冷凍ともに大差はなさそうである。(読売新聞より)
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