太陽から噴き出す太陽風(陽子などの流れ)が、90年代半ばに比べて、約2割弱くなっていることがわかった。
欧州宇宙機関(ESA)、米航空宇宙局(NASA)が、23日発表した。
約50年前に観測を始めて以来の、最低の弱さだという。
太陽風が強いと地球ではオーロラが現れたり、通信障害が発生するなどさまざまの影響が出る。
反対に、太陽風が弱いと太陽系外から進入する放射線や宇宙線をブロックできないため、宇宙飛行士の被曝量が増えたり、衛星が故障する恐れがあるという。
また太陽風は雲の量にも影響するようであり、気候への影響も指摘されている。
今回なぜ太陽風が弱くなったのか、理由はよくわからないという。
(朝日新聞より)
【太陽風とは】
太陽系の宇宙空間には「太陽風」という電離した粒子の風が常に吹いている。これは、太陽の上層大気(コロナ)が太陽の重力を振り切って流れ出したもので、その範囲は、最も外側の惑星「冥王星」の軌道より遙か外まで吹いているという。
風の速度は約400km/secにもなる(1秒で東京から大阪まで)
太陽面で爆発が起こると、太陽風の波が発生し4日後には地球に到達する。そして磁気嵐をおこして人工衛星の姿勢を狂わせたり、送電線に誘導電流を生じて電力供給に支障をもたらすなど、広い範囲に影響を及ぼす。
太陽活動の弱まりらしいもう一つの現象がある。
太陽の黒点は活動が盛んなほど数が多い。今年は9月に入って黒点が全く見られず、太陽活動の低下を示しているという。
太陽活動はこれまで11年周期で規則的に変動しており、今年1月以降は活動期に当たっている筈である。それが逆に活動低下しているのはなぜか、注目したい。