4月になって、少しホッとしたことがある。地下鉄の車内で、汗だくにならずに済むからだ。
冬季は外気温に合わせ、ついつい厚着して出かけてしまう。そして地下鉄に乗り込んだ瞬間、ムッとした人いきれにすぐさま身体が反応し始める。上着を脱げば良いと思うのだが、何だか今さら面倒臭いのと、一応アウターに合わせてカバンを選んだからなーとくだらない理由を考えつつそのままで耐え忍ぶ。吊り革のないセンター付近にポジショニングした場合、身体のバランスを取るのに全神経が張りつめるため、いっそうエネルギーを費やし汗の量が増えてしまうのであった。
結局、這々の体で駅から地上に出ると、今度は一気に身体の熱が奪われて体調不良に陥る。もう本当に、これを何度繰り返したか分からないほど。ただ、4月ともなれば地下鉄内と地上気温との差が小さくなり、軽装も手伝ってかそれほど汗をかかなくなった。空調ファンも回っているようだし。でも、雨の日のことを考えると憂鬱になる。車内の湿度が高くなり、そのぶん体感温度が上がってしまうからだ。ホームに入って来た車内の窓が曇っていたりなんかしたら、もうそれだけで家に引き返したい気分に駆られる。
こうした状況に抗うため、自衛策を取ることにした。電車に乗る前に、外側から巧妙に窓を開けてしまうのだ。そう、あまり注目されないよう歩いているのと同じ姿勢のままで。この間、実験的にやってみたところ、窓を開けすぎたためか、対向列車とすれ違うたびに突風が吹く事態に。その都度ライオン丸のようになる女性は、明らかに迷惑そうにしていた。本当にすみません。何事もやり過ぎは禁物か。