特別コラム「昔の予報官」

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早かった梅雨明け
2004.7.1
高橋 和也『気象人』編集長
今から3年前、2001年の夏はとても印象深いものだった。この夏は東日本で盛夏の訪れが早く、関東甲信地方は7月1日、東海と北陸でも7月2日には梅雨が明けていた(関東と北陸は梅雨明けの最早記録)。

ところが気象年鑑の速報値を見ると、関東甲信地方における当初の梅雨明けは7月11日に発表されていた。これはどうしてだろうか。実は、梅雨入り・明けは秋になって見直しが行われるため、最初に発表になった期日がその年の正式な梅雨明けにならないこともあるのだ。ただ、10日もさかのぼって訂正していた点を考えると、気象庁関係者もこの時期の天候に相当悩まされたのではないかと思われる。

今日の青空を見ていたら、そんなことを思い出した。
6月の夕暮れ
2004.6.2
高橋 和也『気象人』編集長
これからは梅雨の時期なので、6月の日の長さはさほど実感できない。それでも、たまに晴れた日没を迎えた時は、ぜひとも西の空を眺めてほしい。日没後もしばらく視界が利く状態を「薄明(はくめい)」というが、とりわけ6月の終わり頃は日が沈んでからもけっこう空が明るいままなのだ。

これまで見た「薄明」で、最も印象に残っているのは1999年6月27日(日曜)の夕暮れ。この日の東京は日没ぎりぎりまで雨が降っていたのだが、本当に突然と言って良いほど急速に雲が切れ始めた。そして、ちぎれ雲が残る空には青、紫、オレンジ、赤、ピンク、本当にもう例えようがないくらい美しい色彩が、これまた時間と共に刻々と変化する光景を見せてくれた。

「美薄明」のポイント
・6月の終わり頃がよい
・急速に天気が回復する時がなおよい
・しかも天気が荒れた後は上空の風が強く、雲が様々な色彩を生み出すのでなおよい

なかなかそろわない条件だが・・
自意識過剰少年の初夏
2004.5.7
高橋 和也『気象人』編集長
中、高校生時代、心底憂鬱だったのが、衣替えを迎えるこれからの時期である。誰しも若かりし頃は、どうでもよいことで悩んでいたりするが、私もそのうちの一人。醜形恐怖とまではいかなくても、成長期の我が身に戸惑いを感じていたややポッチャリ少年。

身体に対してお尻がデカすぎる!!だからして、制服の上着で隠れていた臀部がある日、突如として公然のもとに晒されることがイヤでたまらなかったのだ(もちろんズボンは履いているが)。

もともと暑いのが苦手な上、このような通過儀礼が待ち構える5月下旬〜6月上旬。最高気温24℃のラインが衣替えの一つの目安になっていることを知ると、必然的に気温の変化には敏感になろうというもの。「日本海で低気圧が発達したら、フェーン現象で昇温するから特に気を付けねば」と唱えていた過敏センサー少年。

天気に興味を持ったのは、こうした不可解な理由も含まれていたりする。だがそんな私も、今は自分の臀部より腹部の方が気になるお年頃。
地下鉄車内亜熱帯気候
2004.4.9
高橋 和也 『気象人』編集長
4月になって、少しホッとしたことがある。地下鉄の車内で、汗だくにならずに済むからだ。

冬季は外気温に合わせ、ついつい厚着して出かけてしまう。そして地下鉄に乗り込んだ瞬間、ムッとした人いきれにすぐさま身体が反応し始める。上着を脱げば良いと思うのだが、何だか今さら面倒臭いのと、一応アウターに合わせてカバンを選んだからなーとくだらない理由を考えつつそのままで耐え忍ぶ。吊り革のないセンター付近にポジショニングした場合、身体のバランスを取るのに全神経が張りつめるため、いっそうエネルギーを費やし汗の量が増えてしまうのであった。

結局、這々の体で駅から地上に出ると、今度は一気に身体の熱が奪われて体調不良に陥る。もう本当に、これを何度繰り返したか分からないほど。ただ、4月ともなれば地下鉄内と地上気温との差が小さくなり、軽装も手伝ってかそれほど汗をかかなくなった。空調ファンも回っているようだし。でも、雨の日のことを考えると憂鬱になる。車内の湿度が高くなり、そのぶん体感温度が上がってしまうからだ。ホームに入って来た車内の窓が曇っていたりなんかしたら、もうそれだけで家に引き返したい気分に駆られる。

こうした状況に抗うため、自衛策を取ることにした。電車に乗る前に、外側から巧妙に窓を開けてしまうのだ。そう、あまり注目されないよう歩いているのと同じ姿勢のままで。この間、実験的にやってみたところ、窓を開けすぎたためか、対向列車とすれ違うたびに突風が吹く事態に。その都度ライオン丸のようになる女性は、明らかに迷惑そうにしていた。本当にすみません。何事もやり過ぎは禁物か。
冬の’あがき’
2004.2.27
高橋 和也『気象人』編集長
うるう年とはいえ、2月はやはりあっという間に過ぎ去るもの。そして気がつけば、冬も終わりに差し掛かっている。しかし東京で11年ぶりに冬日ゼロになるとは、誰が予想できただろうか(誰も予想しないが)。振り返ればやっぱり暖冬・・。

最近、あちこちから聞こえてくる「2月ってこんなに暖かかった?」という声。確かに東京の2月平均気温(25日まで)は8.3℃。サクラの開花がとんでもなく早かった、一昨年(2002年)2月の7.9℃を凌ぐ値になっている。22日の日曜日、南風が吹き荒れた夜には、都心の道路でヒキガエルまで見てしまった。

このまま暖かい状態が続いたら、またまたサクラ開花最早記録続々更新?という事態になりかねない。が、3月の第1週は、どうやら寒気の南下が盛んに行われそう。冬もけっこうしぶとかったりするのだ・・。
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