特別コラム「昔の予報官」

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食中毒の季節
2012.9.11
森川 達夫(株式会社ウエザーミロ代表・気象予報士)
最近は食中毒のニュースが目に付く。 昨年の食中毒は、9月が年間で最も多く、ついで6月に多い。 
 
 食中毒が起こるのは,細菌やウイルスに汚染された食べ物によることが多い。
夏は気温や湿度が高いため細菌が増殖しやすく食中毒の危険が高い。
今年は、白菜の浅漬けや弁当から食中毒が発生し、高齢者や子供に犠牲が出た。

 危険な食品をあげると、まず悪名高い「O 157(オウ157)]は肉についていることが多く、ほかにも、家畜の糞から野菜が汚染されることもある。

 食べ物は、臭い・見かけ・味からは危険性を見分けるのは難しい。
 食中毒を防ぐには、次の3つ。
きちんと手を洗う。 冷蔵庫に保存して早めに食べる。 火を通して肉は真ん中まで焼く。

これで、まずは安心。
日本にも氷河があった
2012.8.28
森川 達夫(株式会社ウエザーミロ代表・気象予報士)
北アルプスの立山連峰で3つの氷河が見つかった。「日本に氷河はない」との定説を覆した。
 高山の雪が夏もとけずに残るのが「万年雪」。この氷の塊が数百年かけて厚さ30m以上になると斜面をゆっくり流れる。これが氷河である。
  
氷河は、夏でも雪が溶けにくい極地や高山にしかできない。立山は夏の平均気温が10度以上ある。それでも氷河が出来たのは、世界的な豪雪地帯であったことによるという。
年間の降雪量をくらべると、ヒマラヤ山脈の氷河地帯が数メートル、立山は20〜25メートルと圧倒的に多い。分厚い雪が夏の高温を遮って毎年1〜2メートルずつ氷体を成長させてきたと言われる

立山は、過去30年間の降雪量が横ばいかやや増加の傾向にある。世界各地で氷河が減少するなか、温暖化に耐えてほしいものである。

万年雪に含まれる空気はせいぜい数十年前のものだが、氷河の氷体には数百年以上も前の空気が閉じ込められているという。貴重な自然の遺跡である。
台風の進路予想
2012.8.15
森川 達夫(株式会社ウエザーミロ代表・気象予報士)
台風予報のなかででとりわけ重要なのが、進路の予想である。 
 昨年9月、台風12号が四国に上陸し、その後も北上を続けて日本海に進んだ。
 これに対して気象庁は、上陸5日前までの予報では、四国への上陸は想定しておらず、関東の東海上へ進むと予想していた。

台風予報もほかの予報と同じ様に、コンピュータによる「数値予報」が基本になる。
 数値予報とは、地球全体の大気を20キロメートルごとに区切った「全球モデル」を用いて、各格子点の気温・気圧などを求め大気の流れを計算する。それらのデータから台風の進路、中心気圧、最大風速などを予測する。
 さらに、予測の誤差を加えた10通りの計算と、予測を確かめる「アンサンブル予報」を行い、最後にそれらから予報官が総合的に判断をする。
 
 台風12号による総雨量は、2000ミリ以上に達し豪雨となった。地球温暖化によって水蒸気量が増えたためとされる。
探査車 火星に着陸
2012.8.6
森川 達夫(株式会社ウエザーミロ代表・気象予報士)
 米航空宇宙局(NASA)が昨年11月に打ち上げた火星探査車キュリオシティー(好奇心)が、今日8月6日午後2時すぎ、火星に着陸した。かつて存在したもしれない生物の痕跡を探り当てることが期待される。

探査機は、125キロ上空で火星の大気圏に突入する。パラシュートで探査車を吊り下げたのち、カプセルを切り離す。20メートルの高さまで降下して探査車をワイヤに吊り下げ、そこで安全な場所に軟着陸する。
火星の大気圏に突入してから着陸までは僅か7分。非常に困難な操作のため「魔の7分」として警戒されているという。

着陸場所は火星の赤道付近で、数十億年前は湖だったとされる。土壌を分析して、謎とされる生命の痕跡を探求するスタートである。

探査車のサイズは軽自動車くらいで、一辺が3メートル前後の立方体、火星探査車では最大という。
蚊にご用心
2012.7.31
森川 達夫(株式会社ウエザーミロ代表・気象予報士)
蚊は人が吐く息の二酸化炭素や熱汗のにおいを感知して寄ってくる。10メートルくらい離れていてもチャンと感知するという。 人を刺すのはのメスだけで、産卵に必要な栄養を蓄えるために吸血する。
  代表格は、ヒトスジシマカ(ヤブカ)と、アカイエカ(イエカ)。
 ヤブカは昼行性で行動範囲が狭く、近づいてきた人を狙う。対して、イエカは夜行性で室内にも入ってくる。

 狙われやすいのは、新陳代謝の盛んな子供、汗をかきやすい人、スポーツ選手、太っている人や、肌のやわらかい人、それと酒を飲んでいる人のようである。
 
 子供は一度に何箇所も刺される。また.ひっかいたあとに細菌がはいるとトビヒにもなる。 外出時は、袖なしを避けてゆったりとした服にする。肌の出る部分は虫除け剤を、薄く満遍なく塗るように。

日常に大切なのが水溜りを作らないこと。ほんの一滴の水でも蚊は育ち、あっという間に成虫になる。ご用心ください。

 蚊は気温25度以上になると活発になり、35℃以上になると鈍くなる。真夏の日中は動き回らず日陰に隠れているが、夕方になると活動を始める。
高く飛ぶことはないので、5〜6階以上のマンションにはいないが、エレベーターや、人についてあがってくることはある。
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