特別コラム「昔の予報官」

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太陽の一生
2012.7.26
森川 達夫(株式会社ウエザーミロ代表・気象予報士)
太陽はおよそ46億年前に銀河系の片隅で誕生した。
はじめは、ガスとちり粒子からなるガス雲だったのが、収縮をはじめて回転し円盤状になり、太陽系の星雲ができた。この円盤の中で生まれたのが太陽であり、ありとあらゆる生命の起源「太陽」はかくして生まれたのである。

 太陽は。これから先きも50億年以上は変わらず輝き続ける。そして続く数億年の間に次第に膨張して、赤い大きな星「赤色巨星」となる。そのあとは表層部が宇宙へ吹き飛ばされ、最後は小さな星、地球ほどの「白色矮星」が残ることになる。

 太陽は、自分のエネルギーで輝く「恒星」の一つである。 太陽内部には、水素の核融合反応でエネルギーが発生する「中心核」、その外側はエネルギーを放射する「放射層」、さらにその外側は対流によってエネルギーが運ばれる「対流層」である。 対流層の一番外側は「光球」と呼ばれ、これがわれわれが見る太陽の表面である。

 太陽黒点
太陽表面にある黒点は、周囲より温度が低いために暗く見える。黒点のなかには地球がすっぽり入るほどのものもある。
   
 黒点は約11年周期で増えたり減ったりしているが、その原因はまだわかっていない。1600年代には、70年間以上も黒点が現れず、各地で寒冷が続いて、ロンドンのテームズ川が凍結したり、これが元で産業革命やフランス革命に影響があったとも言われる。また、日本でもこの時代に大凶作に見舞われたとされている。
熱中症には まず水分を
2012.7.18
森川 達夫(株式会社ウエザーミロ代表・気象予報士)
夏場のスポーツ中に最も多いのが熱中症。暑さが原因で、体温調節がうまく出来なくなって起こる。 
 人体は通常、体温が上がると皮膚に血液が集まり外部に熱を放出する。
ところが、気温や湿度が高いときや、水分不足で血液が減ったりすると、熱の放出が出来ず体内にこもってしまう。その結果、めまいや頭痛、吐き気、倦怠感の症状が現れる。重いときは、意識障害やけいれんがおき最悪の場合、命にもかかわる。

大学病院によれば、「運動中は、筋肉で大量の熱が発生し、体内の水分が常に奪われるので、こまめに水分を補給することが大切」という。
 また、水分とともに塩分も失われる。塩分の入ったスポーツ飲料やアメをとるとよい。

 予防法としては、暑くなる前から徐々に運動量を増やし、汗をかきやすくすることが効果があるとされる。
 
 熱中症になったときは、風通しのよい日陰で、冷たい水を飲ませる。このとき大切なのは、水を自分で飲ませることという。自分で飲めないのは意識障害が起きている証しであり、病院への搬送が必要である。

 昨17日は関東各地で最高気温が39度を超え、この夏一番の猛暑となった。全国の熱中症患者も7月9日〜15日時点で2,483人となり、充分な対応が必要となってきた。

子供の熱中症 ご用心
2012.7.5
森川 達夫(株式会社ウエザーミロ代表・気象予報士)
いよいよ熱中症のシーズン。乳幼児は体温の調節が不十分なので、まず大人が気をつけましょう。

「車の中に30分。ぐったりしてものを言わない」 「屋外で気分が悪くなった」 「外から帰って急に頭が痛い」などは熱中症のありふれた症状である。
記録的な猛暑だった一昨年6〜9月、全国で489人の乳幼児が熱中症で搬送。
多くは軽症ですんだが、危険なケースもあった。

注意する症状をいくつか拾ってみよう。

【乳幼児の脱水症状】
子供は汗腺が未成熟、特に乳幼児は急に気温が上がると大量に汗をかき脱水症状になる。
・日光の照り返し。地上0.5メートルの気温は、1.5メートルとくらべて、3度くらい高くなることもある。
・真夏の車の中。子供を残して離れるのは、ほんの数分間でも危険。
・子供がたくさん汗をかいたあと、頭が痛い、体がだるいなどとぐずったときは熱中症を疑う。オムツをしている子が、おしっこが出なくなるのも要注意。

【手当】
・木陰やクーラーのある涼しい場所に移し、水分を与える。
・首のうしろ、足の付け根を冷やし、うちわで扇ぐ。
・意識がぼんやりして反応が鈍いとき、痙攣を起こしたときは、ためらわず救急車を

 気象情報に注意して、真夏日や急に気温が上がる日は特に注意しよう。

 さあ、お母さん達、これからいそがしい!
月面に氷が
2012.6.27
森川 達夫(株式会社ウエザーミロ代表・気象予報士)
米航空宇宙局(NASA)の観測でこのほど、月のクレーターの中に、氷が存在することがわかった。このクレーターに氷はないとされてきたが、これによって将来、月面基地を建設する際の有力な資料となりそうである。
 
 月観測衛星が、月の南極付近にあるクレーターに向かってレーザーを発射し、反射する光の明るさを測定した。その結果、直径21キロ、深さ4000メートルのクレーターの底と壁面に、強く反射する場所があり、それが氷と判断された。
 また、レーザーの戻ってくる時間から、クレーターの立体地図を描くことにも成功した。中はごつごつして起伏が大きく、車が走れるような状態ではないという。
金色のカギ
2012.6.11
森川 達夫(株式会社ウエザーミロ代表・気象予報士)
長さ20センチの金色のカギが,気象庁広報室に保管されている。1959年3月、天気予報業務に初めてコンピューターが導入された際、製造元のIBM社が記念に贈ったものである。

 そのころ、気象予報にコンピューターを使っていたのは米国だけで、つづいて日本が世界2番目にコンピューターを導入した。
 しかし、当時の計算能力は今のノートパソコンの10万分の1程度にすぎず、予報精度への貢献はほんの僅かにすぎなかった。
 それから半世紀あまり、今年6月5日に、9代目の予報用スーパーコンピューターが運用を始めた。予報業務用として世界最大の速度を誇り、初代に比べて実に1000億倍もの計算能力をそなえている。

 雲の発生、降雨の過程を高い精度で予測したり、局地的な豪雨や竜巻など、防災に不可欠な予報を精密に算出するなど、一層めざましい活躍が期待されている。
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